第103話 カッコイイ?

将暉邸では俺と将暉社長が話し込んでいた。


「社長、何とか賢一君がアルバイト出来る様に森田専務に口添えをお願いできませんか?」


「そうか……彼の息子のことはずっと気になっていたんだよ。城島は役員に気に入られるのは上手だったからなあ、飲みに行って帰ろうと店を出ると待っていたりしてね……そこへあの暴力事件だったから揉み消すわけにも行かなくて……」


「賢一君は城島からセクハラを受けていた女子社員を助けようとしてあんな事になったようです、名前はわかりませんがその女子社員から彼を助けて欲しいとメールが来ました」


「そうだったのか……」


「でも彼は、その子がセクハラをされた事を知られたく無くて黙って会社を辞めたようです」


将暉社長は頷きながら少し考えている。


「分かった、専務に口添えしておこう、それにアルバイトを雇うのは君の自由だからね」



CSR部に賢一君が来ている。


「これからよろしくお願いします」


「ありがとう、本当に助かるよ」二人は握手した。


そこへ綾乃が入って来た。


「あ……賢一さん!……お久しぶり」


「綾乃ちゃんお久しぶりです」


「どうしてここにいるの?」


「実は新さんの元でアルバイトさせて頂くことになりました」


「そうなの!良かった、すごく気になってたのよ、あの事件の後辞めちゃったから、みんな城島は当然の報いだって言ってたのよ」


「そうですか……でも暴力はいけないので……」頭をかいた。


「でも、新さんとどうして知り合ったの?」


「松本君の紹介です」


「そうか、松本君はクラスメートだったよね」


「はい、あいつ頑張ってますか?」


「うん、すごく頑張ってるよ」


そこへ松本君が入って来た。


「ケンイチー!!!良かったなあ、戻って来れたんだねえ」


「ああ、まだアルバイトだけどな」


「なあ、言った通り新さんってカッコいいだろう?」


「そうだな、カッコいいな」


綾乃ちゃんは不思議そうなな顔をして「新さんをカッコいいなんて言う人がまた増えた」そう言ってキョトンとしている。


「綾乃ちゃんが好きになった人なんだろう」賢一君が不思議そうに聞いた。


「そうだけど……カッコいいかなあ???」


「じゃあ何で愛人になりたがる人が増えるの?」松本君が笑いながら聞いた。


「うーんそうよね……新さんは周りをじわっと幸せにしてくれる人だけど……カコいいのかなあ……」


「本当にカッコいい人って、そんな人の事を言うんじゃないのかな?」賢一君がにこやかに答えた。



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