第93話 綾乃の初仕事
「東京から引っ越して一年はもう過ぎちゃったけど……何で高崎にいるんだろう?……俺は部署の机の上で考えていた。あまりに目まぐるしく変わったけどこれで良かったんだろうか?」独り言が漏れる。
ドアがノックされ、綾乃が顔を出した「ちょっと来て」
俺は隣のマーケティング部へと顔を出す。
「これ、マーケティング課と新規開発課で進めている新商品なの、女性向けのランチよ、直ぐに飲めて内側から健康をサポートして美しくなるという商品よ」
ゼリーで飲み口のついたパウチになっていた。
「へー……いいんじゃない」
「新さんもいいと思う?」
「うん」
「それでね、今度役員達に商品のプレゼンをするんだけど、新さんも来てくれない?」
「えー!俺がですか?」
留美さんを見ると難しそうな顔をして言った。
「女子社員には評判がいいんだけど、男子社員にはイマイチなのよ……役員はみんな男だしね」
「私が社長の娘でも特別強みにはならないのよね……実際……」
「俺はもっと強みにはならないよ」
「だって前の会議室のプレゼンではかっこよかったって聞いたよ」
「あの時と今回は全く違うでしょう!」
「ともかく来てよ」
「そう……それでいつなの?」
「明日……」
「また急な話だねえ」俺は頭を掻きむしった。
3人に「お願い」と手を合わせられて、渋々了承する。その夜は資料を見ながら夜遅くまで考え込んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます