かれとわたし

バブみ道日丿宮組

お題:最弱のガールズ 制限時間:15分

かれとわたし

 必殺技は必殺であるからして必殺。

 それが例え男子であろうと当たれば倒せる……そのはずだったのに、

「軽い」

 簡単に防がれた。

「おかしい」

「おかしくない。帰宅部に殴られるほどやわじゃないよ」

 同じ帰宅部に言われると腹立つ。

「筋トレしてるし!」

「いやそういう話じゃない。スピードないし効果音自分でつけてちゃ防いで欲しいっていってるし」

 し、で返されてさらに腹立つ。

「そっちのほうがかっこいいでしょ!」

「アニメの見過ぎじゃないかな。現実はかっこいいエフェクトなんてならないで簡単に終わるよ」

 諭しはじめて余計に腹立つ。

「じゃぁテレビの人は強くないっていうの?」

「テレビは非現実性の人間がいるようなものだから、そこらへんにいる小娘がたどり着けることはないよ」

 下等種族のように言われて腹立つ。

「あんただってひ弱じゃない」

「そこは男と女の違いってやつで、あとぼくの場合はジム通ってるから」

 筋トレと比べられてかなり腹立つ。

「そ、そんなに目に見えない努力して、だ、誰にモテようというのかしら」

「なにそのお嬢様言葉……ちょっとひく」

 む・か・つ・く。

「いいわよいいわよ。誰にも言わないから相手を教えなさい」

 胸ぐらを掴んでも、身長差があって引っ張るしかできない。

「っ……! しゃがんでよ!」

 えーと口を濁らしながらもしゃがんでくれた。それでこそ私のライバルであり……な人。

「これでぼくはどうすればいいの? 君を逆に持ち上げればいいの?」

「や、や、やめて、は、恥ずかしい……」

 距離をとって対策を考える。

 殴れないし、持ち上げれないし、彼を拘束できるすべがない。

 こんなことしてたら、誰かに取れちゃう……ほんと腹立つ。

「はぁ……怒ったり、悲しんだり、今日は一段と激しいね」

 まだ学校がはじまってないとぼそりといった彼は疑問視しながらも学校に向かおうとしない。それはわたしと一緒にいきたいと言ってるようなもので、少しほんわか。

「ほ、ほら、学校、い、いかなく、ちゃ?」

「最初からその予定でしょ。ぼくの家前でかれこれ10分ぐらい経ってるけど……」

 ため息つく彼の鈍感ぐらいに涙でそう。おかしいな……さっきまでイライラしてたのに。

「まぁ……いつもどおりなら、ほらいくよ?」

「う、うん」

 彼が伸ばした手を掴んで、わたしはわたしがいられる場所に満足した。

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かれとわたし バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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