第36話 エロ名所三人美女⑧
《視界にも入らないなら無理矢理にも入る。意識されてないなら、無理矢理にも意識させる。これが私のやり方。天王洲さんに、中也を渡さないから》
頬を朱色に染めながらリタにそう言われた。リタが本気を出して、本当に俺を口説こうとしてきてる。現にリタにはKissをされて、俺のファーストKissは奪われてしまった。
帰り道、リタと何を話したのか、どんな道を通って、どんな景色を見て帰ったのかは覚えていなかった。
「ちゅーやー、ご飯できたー!」
「あ、うん」
「冷めちゃうから早くね〜」
自室でそんな事を考えていると、ドア越しにリタの声が聞こえた。そういやここ最近、毎日リタが夜ご飯を作ってくれている。
とてつもなく美味しいとは言えないけど、以前の木炭みたいな料理にはなっていなくて、まぁ普通には食べられるくらいのレベルには成長している。
階段を下りてリビングに向かうと、エプロン姿のリタが満面の笑みで待っていた。一応俺とリタって……Kissしたんだよな……? それなのにこの子恥ずかしがる素振りもなく普通に接してるんですけど。これって俺がチョロいのか……? 気まずくないのか……?
「いただきまーす!」
「い、いただきます……」
俺とは真逆に、リタは次々と料理を口に運んでいて、俺はあまり箸が進んでいなかった。唐突だし、初めてだったし、そりゃ仕方ないと思うんだよ。
「リタはさ、平気なの……?」
「なんのこと?」
「俺たちは……Kiss……したじゃん」
「うん、したよ」
「恥ずかしかったり……思い出したら悶々としたりとかさ」
「そこはねー、聞かないでよぉ」
「なんか俺だけ恥ずかしがってると、なんか調子狂うってゆーか……」
リタは箸を置いた。そして石を立ってそのまま俺の横に歩いてくる。そして俺の腕を優しく取り、そのまま自身の胸元に押しつけてきた。
「え……?」
いや、エプロン越しとはいえとてつもなく大きいからその感触は分かるわけで……や、柔らかい……! いや、そうじゃないだろ!? ってかこの子は急に何をしてるんだ!? マジでリタ分かんねー! イギリス人マジ分かんねー!
「ドキドキ、してるでしょ?」
「え?」
「恥ずかしくないわけ……ないじゃん……中也……鈍い」
って言っても、大きいメロンが邪魔でその肝心な胸の鼓動が聞こえないんだよ! 恥ずかしさの確認じゃなくて、ただ単に俺に対するご褒美になっちゃってるから!
「そ、そうなんだ……」
「でも、こんな事をするのは中也だけ。それは勘違いしないでね。誰でもいいわけじゃなくて、中也だからできる事」
「リタ……」
「中也が嫌がるから私からは執拗に求めないけど、中也が欲しいならいつでも言って。この身もこの心も、もう中也の物だよっ!」
「色々と捧げ過ぎでしょ……」
「でも中也、動揺してる。有効だって言ってるようなもんだよ〜」
「そりゃ、初めてだったからな……」
「じゃあ、中也のFirst Kissの相手は私。天王洲さんじゃなくて、私だよ?」
天王洲さんに敵意剥き出しで、そして間違いなく天王洲さんではやってこないような手法で俺に迫ってくる。それに、俺とリタは同じ屋根の下で暮らしている。攻め方もその頻度も圧倒的にアドバンテージはリタにあるからこの上なく厄介なのだ。
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《令和コソコソ噂話》
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