神の血に溺れる
出っぱなし
第一部 旅の始まり
序章
そうだ フランス、行こう
そうだ フランス、行こう。
一昔も二昔も前のJR東海のテレビCMのようだが、僕の頭にその
この当時の僕はどの銘柄かも分からない、スーパーマーケットで簡単に買えるただの安ワインの入ったグラスを傾けていた。
今となっては詳細は覚えていない。
ただ酔っ払っていただけかもしれない。
しかし、その瞬間、僕は熱に浮かされるまま動き出していた。
これが、すべての始まりだということに気が付かないままに。
その当時の僕はまだ20代後半だった。
きっと若さゆえの勢いもあったかもしれない。
定職にもつかずに、海外を放浪していたのでフットワークが軽かったということもあるだろう。
今振り返れば、ただの無鉄砲なだけだと思うが……
さて、すぐにフランスのワーキングホリデービザを取得するために様々な手続きに動いた。
その間に、書類の一つ、残高証明書に必要な資金を貯めるために3ヶ月ほど季節バイトをした。
当時は確か2500ユーロ、30万円から40万円ほどだったと思う。
細かい数字は失念したし、書類も残っていないのでこれは定かではない。
決して物価の安くないフランスに1年もの間滞在するつもりだったが、その程度の資金ではすぐに底をついてしまうことは目に見えている。
瞬く間に目減りする数字によって、生き残るために奔走することになるが、その話は後ほど。
今考えればただのバカだと思ってしまうが。
とりあえず、そうして無事にビザが下り、片道の格安航空券を手に入れ、シャルル・ド・ゴール空港に降り立ったわけだ。
これが、現在まで10年ほど続き、さらにその先の生涯を懸けることなるワイン道の始まりであった。
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