つまらないけれども。。。

エリー.ファー

つまらないけれども。。。

 少しだけ、自分の音楽を好きになる。

 本当に少しだけだ。

 自分の声から出る音が好きだ。

 いや。

 ごめん。

 大好きだ。

 自分の作り出すものが大好きだ。

 不思議な気分なのだ。

 自分のことを嫌いになれない。

 自分自身を嫌ってしまう人がこの世の中にはたくさんいると聞いたことがある。本当に心から驚いてしまう。

 私は、どうしても自分のことを嫌いになれない。嫌いになってもしょうがない、というようなことではない。嫌いになったところで自分からは離れることができないから、嫌いになるだけ無駄である、ということではない。

 本当にただ、純粋に自分のことが好きなのだ。

 これは、日記なのか。

 いや。

 ショートショートなのか。

 それとも。

 フィクション。

 ノンフィクション。

 歴史。

 近況。

 それとも。

 詩。

 長編の書き出し。

 短編の欠片。

 中編のどこかしら。

 分からない。

 でも、この文章が、この世界がここで終わるとは到底思えないのだ。

 この言葉を使ってどこかと繋がっている感覚がある。最初こそ、自分だけの世界であったはずなのに、それは私だけしか住むことのできない世界ではなくなった。それで困ったことは一度もない。もっと早く、ここにいればよかったとさえ思った。

 流し込むだけなのだ。

 言葉を、思考を、世界を、物語を。

 後は、それによって変化する様を見つめることに集中する。

 書きつくすだけでは終わらないし、終われない。

 無限に移動していき、帰ってはこない。

 大切にしてもらいたいと思っていたのに、いつの間にか大切にされることが当たり前になっていて、そのような思いが消えてしまう。

 私には、ここから先の世界が想像できる。それは、この物語だけではなく、この外の世界によって広がる物語だ。

 煩わしいものはない。すべてが鮮やかである。

 妄想だと思っていたはずのものが、一つ一つ意味を持っている。

 この言葉もきっと、誰かに届くはずなのだ。いや、届かなかったとして疑うことはないだろう。信じているわけではないのに、そこから先に言葉が既に連なっていく。

 分かりやすい幸福である。

 思い込みによる、歪みが一番嫌いなのだ。ただ純粋であればいい。積み上げたものが結果的に私を作り出してくれるのだから、何も否定する必要はない。

 哲学はわざとらしく手の中に入れるものではない。落とすようなものでもない。ポケットの中にしまい、あとは何度かあることを確認するだけでいい。

 恵まれていることしか分からない。

 恵まれていない部分に気付くことができない。

 そこがまた、多くの人からすれば厄介なのかもしれない。

 私は、その厄介な部分こそが愛すべき要素であり、愛される切っ掛けなのだと分かっている。走ることも、歩くことも、立ち止まることにさえ意味を見出せるのはきっと私だけだろう。

 自分を特別だと感じている。

 押し付けるかのような思考が、非常に熱を持っていると思っている。

 私を構成している要素が。

 今日も手を抜くことなく、私を作りだしている。

 好きになってしまった。

 愛さずにはいられない。

 抱きしめずにはいられない。

 歩まずにはいられない。

 笑わずにはいられない。

 逆に、これ以外の道があるというなら教えてはくれないか。


「少々、生意気ですが。どうぞ、よろしく」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

つまらないけれども。。。 エリー.ファー @eri-far-

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ