№ 444.

*うみゆりぃ*

第1話 № 444.

あぁ

空は広く永遠に続くものだと

思っていた


大人になったら

自由に何処へでも羽ばたけるものだと

思っていた



いつか空も飛べるはずだと

見上げていた空は


青かったり

赤かったり

時には紫や橙や桃色にも見えた



カラフルな空が

どんよりとしたモノクロの世界へと

変わってしまったのは


いつの日からだったかしら



運命という鎖に縛られて

いつの間に背中の両羽は

折れていたの


片脚はもがれていたのかもしれない

走り出そうとしても

感覚がなかったもの



ほんの少しだけ

夢の扉があいて

色鮮やかな空が目に映ったとき



>> イケナイ



飛ぶ感覚を

思い出してしまったの



ごめんなさい



折れた両羽で

もげた片脚で


不格好にでも

もう一度空を飛んでみたいと足掻くことは

本当に悪いことでしょうか



社会のルールや

世間の常識のかごに

囚われてすぎて

上手に飛んでいるフリをしていた




飛び散った血痕

もう羽なんかいらないの

脚なんかいらないの



あなたを見つめるための

瞳と

あなたを包み込むための

腕さえ

残っていれば

あとは全部くれてやるから



<< イカセテホシイ



落ちて

堕ちて


海深く咲く

ウミユリの元へと


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

№ 444. *うみゆりぃ* @Sealily

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ