第六話
「はぁ、はぁぁ、がぁぁ」
目が覚めてから、ずっと僕は走っていた。
逃げなきゃ、逃げないと死ぬ。
「しにたくない!しにたくない!!!」
森を掻き分けて林に腕を切られて村から離れる。焦げた肉の臭いが脳裏に蘇る。
そして、立ち止まった。
僕はなにをしているんだろう。
ここで例え生き残ったとしてこれから何になるんだ?その顔には笑みが貼り付いた。
「うん、村に帰らなきゃ!妹も待ってるもんね!!」
逆向きに駆け出す、自殺のような行軍だ。
「村の生き残りがいるぞ!」
「どこだ!?」
「森に1人、少年だ!」
近くに1人女性の声、遠くから来る男の声。
助け、?こんなところに?
助かる、助かるのかもしれない!!
そう思った時に思い出す。
「あなたが僕を助けてくれるなら!村も、妹も助けてください!!!」
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「村にゴブリンが襲撃をかけて、その中に黒い変異種。なるほど」
「それで!今は燃えてて!」
「わかった、君はそこの男と」
「僕もいきます!」
「来て何になる?死体が増えるだけだ!」
「でも案内や村の家の配置がわからないと困るでしょ?それに妹を探さないと!」
しばらく瞑目したその女性が僕に同行を許した。
「危なければ君だけでも逃げるんだぞ」
「わかって、ます」
そんな会話を続けながら村にたどり着いた。
「中央が村長の家で僕の家です!そこがおそらく避難場所になってるはずです。」
村の門が崩壊していたことからおそらく籠城をしていると僕は踏んだ。
なんでこんなことが頭に浮かぶのかはわからないけど今は使えるものはなんでも使おう。
「円卓が1人、アーナラである!村長以下村人はここにいるか!?」
「いるぞ!」
父さんの声が聞こえた。
遠くからは母の声もする。
でも、妹の声がしない。
「と、父さん。エメは?」
「エヴァ!?なんで1人なんだ!!」
「え?だって」
「エメはお前を連れてくるって……!!?」
エメ、どこなんだ?
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