第五話
ゴブリンは弱くない。
魔物は森の獣よりも硬い皮膚と高い知能を持ちその脅威は末端の魔物でも警戒が必要だ。それがメリル婆やの教えだ。
しかし僕はゴブリンが人型を模した魔物であることを知っている。
それを考えれば頭を狙って遠くから投石を続ければ倒せるに違いない。
「倒せる、できる。僕は無能じゃない!」
勇み足高らかに森に踏み込んだ。
====================
「ゴブリンの奴らがいない、なんで!どうして!」
森の中をいくらかき分けても見当たらないカビ色の肌。
そんな中、見つけたのは黒く硬い肌をした鬼だった。
「ッッ!?」
あくまで遠くからみただけだ、まだ逃げられる。でもわからない。もしかしたらあれがゴブリンなのかもしれない。そしたら僕の石でも打ち破れるかもしれない。
「い、いくぞ!」
声を殺すことを捨て、ゴブリンにこちらを向かせる。
「ギジャァ…?」
「シッ!」
ガツン!
いい音がした。
「グルェァ!?」
「もう1発!」
しかし、ゴブリンはこちらに背を向けて逃げてしまった。
「おい!?ふざけるな待て!」
そのままゴブリンは姿を消した。
「まあ、人里から離したしいいのかな?」
それが悪かったのだ、僕はあの瞬間を大人を集めて戦うべきだった……。
====================================
「はぁ、はぁ、はぁ」
夜、眠りについた村に火が放たれた。
うち漏らしたゴブリンモドキが仲間を連れて 村に報復に来たのがわかった。先頭にあの黒いゴブリンはいた。
「僕のせいだ僕のせいだ僕のせいだ僕のせいだ僕のせいだ!!」
村は阿鼻叫喚で皆が逃げ惑う。
僕は必死に森に逃げ込んだ。
そして、煙に犯された脳は意識を失った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます