結衣と徹也とアームロック
勝ったのはいいがなんでこんなことになるかな
バトルが終わった後、不信感で迎え入れられた。どうやら俺の正体がわかったようだ
商店街チームガレージ
「色々聞きたいことはあるけど、とりあえず。なんで明堂辞めたの?」
「やっぱり言わなきゃだめですか?」
「エースドライバーを手放すにはかなり訳ありだとしか考えられないし、皆んなが納得しないしチームの士気にも影響を及ぼすわ」
問い詰めるリリス先輩…正直に答えるべきか、かなり気分のいい話ではないので、話したくないのだが
「明堂の身内の揉め事が原因よ、長くなるしあまり気持ちのいい話じゃないから聞かない方がいいわ」
「先生…」
沈黙を破り、上村先生が入ってくる
「リリス、彼は信用できる男よ。それは先生が太鼓判を押すわ」
「…わかりました、どっちにしろ徹也はいてくれないとメンバー不足でどうにもならない状況ですからね」
上村先生の言葉を信じて、リリス先輩はそれ以上の追求はしなかった。助かった…
「よく来てくれたわ徹也、歓迎するわ」
「ええ、こちらこそよろしくお願いします上村先生…で、そろそろ誰か止めてくれませんかね、かなり痛いんですが…」
なぜ助けを求めるか…
奈緒のアームロックを喰らっていたのだ
「あら、随分余裕そうね徹也。もっと強くやって欲しいのかしら!」
「ぐがががあああ!?」
「はははは!どうよ優輝を練習台に会得したアームロックは?」
「がぁぁぁぁぁ!?!?」
「姉ちゃん、それ以外いけない!」
「優輝、止めるならアンタが代わりに喰らいたいのかしら?」
そう言われて青ざめる優輝
どうやら助けは望めないようだ、無慈悲である
「いいんだ優輝、なんであれ大切な車を故意で傷つけたんだメカニックに怒られても仕方ない。それにな割と悪くないぞ…たわわが当たっててな…ぐぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「奈緒、そこまでにしなさい」
リリス先輩の一声で、奈緒のアームロックから解放されるが…しばらく悶絶した
「うーん、しかし上手く当てたね徹也。これなすぐ戻り…お、いった。」
杏奈先輩はぶつけて凹んだ右フロントフェンダーをヒートガンで熱しエアダスターで一気に冷却させ凹みを戻した
「若干変形はしたけど、うんまあ大丈夫だと思う」
「大丈夫じゃなければ徹也を凹ませる」
「まあまあ奈緒、私も聞いた上で徹也のやり方を認めた私も悪いんだから。それに少しスカっとしたでしょ?流石に加奈の挑発と結衣に対してやった行動は腹に据えかねたし。まさかまともに勝負してS660に勝っちゃうだもの」
「加奈の気持ちもわからなくないんですけどね…」
苦笑いしながら、アルトワークスを眺める
加奈も本当はこういう手段は取りたくないのかもしれないということを、奈緒は察していたようだ
オレから見ても、あからさますぎるような行動だった
「ところで、結衣はどうしたんです?」
部室を見回して結衣がいないことに気づく徹也に上村が答える
「結衣ちゃんなら保健室でメンタルケアを受けてるはずよ」
「メンタルケア…心理士がこの学校にいるんですか?」
「そうね、うちの学校にもっいないぐらいの養護教諭がいるのよ。そうだ、徹也と奈緒。結衣の様子を見てきてもらえるかしら?」
練習場から保健室に向かう道中にて
歩いて校舎まで5分といった所か、奈緒と二人きりで保健室に向かう
気になっていたことを奈緒に切り出す
「結衣のあの状態、何かしらトラウマでもあるのか?事故にあったとか」
やはり話し辛い話題だろうか、奈緒は少しの沈黙の後口を開く
「ミスター・ホークマンって徹也知ってるかしら?」
「勿論、stGTに参加してる人間で知らない人いないだろ。スーパー・スター・レーサー、フォーミュラもダカールも制し、常にヘルメットか鷹の被り物して素顔を明かさない謎のレーサーでありヒーロー」
「私達の世代じゃヒーローだもんね…結衣も熱烈なファンなの」
「だが、6年前事故で帰らぬ人になったが」
「それが…結衣はその事故の目撃者なの」
「なんだって!?」
6年前、ミスターホークマンが乗る特注色の青い35Rが公道で事故を起こした
かなり悲惨な事故だったらしく、車も原型を留めずドライバーのホークマンも人の姿をしていなかったらしい
「そうか…この近くだったもんな、事件現場…オレも蒼鷹町に来た時に花をあげに行ったが…もしかして、その光景がフラッシュバックするのか?」
「一年生の頃はそこまで酷くなかったわ、まあ少し苦手意識がある程度だったけど…去年のstGTの地区大会で悪質なチームと対決することなって、結果は相手の違反行為で勝ったけど大破寸前の事故を起こさせるほどぶつけてきたの」
「…なるほど、6年前の光景がぶり返した訳か・・・」
PTSD…心的外傷後ストレス障害か
保健室
「ありゃ?先生どこか行ったのかな?」
保健室に入ると担当の教員がおらず、カーテンが開いているベッドに結衣は寝ていた
ベッドの近くに棚に薬や水が入ったコップ、精神安定剤の類だろうか
奈緒はベッドの近くの椅子に座る。おもむろに結衣と俺の顔を見比べてる?
「どうした?」
「んー…結衣と徹也って似てるなぁて思って、オッドアイの金色の瞳もだけど顔の雰囲気というか」
雑談してると保健室に白衣を着た教員が入ってくる。30代ぐらいの男性だろうか
「おや、奈緒さんに…え!?君は!?」
徹也の顔を見るなり驚く
「?どうしたんですか森先生?」
「え?うん、いや…見慣れない生徒がいたもんだからつい…えーと確か君は・・・」
「山岡徹也、昨日転校してきたばかりで」
「そして、うちの自動車部の商店街チームの新人」
「ああそうか、そうかそういえば転校生が来たって聞いたけど君か。どうも保健室の担当の森だ」
どうも動揺が隠し切れてない森
奈緒は結衣の容態を聞く
「来た時には落ち着いてたけど、一応薬を飲ませて仮眠をとらせてるんだ。気持ちの整理させるためにね」
「そうですか…」
「後30分はこのまま寝かせてあげよう。でも以前に比べたらホント落ち着いてたという安心してたのかな…」
森は話題を徹也に移す
「山岡君、君もしかして養子縁組なのかな?」
「ん?ええ、親とは血の繋がりがないんですがそれが?」
「もしかして、青の鳥学院っていう養護施設にいなかったかい?」
「…なんで先生そのことを?」
養子縁組なのは書類か何かでわかるだろうが、なんで施設まで?
「ん?え?あーその…昔オッドアイの珍しい子供がいるってそこで働いてる友達に聞いてさ、ははは」
…あからさまに怪しい…気にしたものでないが
「ん…」
話し声で気づいたのだろうか、結衣がベッドから起き上がる
「おや、起こしてしまったか。大丈夫かい、結衣さん」
「はい、もう大丈夫です森先生」
ニコッと表情をする結衣に奈緒は、結衣のほっぺを摘んで
「なーにが大丈夫よ、笑って誤魔化したりしてさ」
「いたただだ!ごめんひゃなぃぃぃ」
「結衣、ホントに無理しちゃダメなんだから…」
お互い固い友情で結ばれている察する
「しかし、今回は症状が今までに比べて軽かったね結衣さん。前までは嘔吐や失神したりしてたのけど…」
…加奈には致命的じゃないと言ったが、なるほどそこまで根深い問題だったか
「なんだろう、徹也君のおかげかな」
「俺が?」
「うん、なんという安心したというか。徹也君がいるとホッとするというか」
「おや?もしかして結衣、徹也に惚れた?」
ニヤニヤしながら聞く奈緒だが
「いや、どうも好きとかそういう感じはないんだよね」
きっぱり、恋愛非対象宣言された…けど
「同じく、どうも結衣相手に好きとかそういう感情はわかねーな。ただ、放っておけない気にはなるがな」
「ええ…」
呆れ顔になる奈緒
「むしろ奈緒のほうが可愛いとか思うぞ俺は」
「!?ちょ、ちょっと何を言ってるのよ!?」
徹也の言葉に表情を赤らめる奈緒
「さっきアームロックかけられた時も、いいバストだったし、さりげなく触れたヒップも…があああ!!?」
「あーら、徹也。そんなにアームロックのおかわりが欲しかったのね」
「な、奈緒ちゃん!?それ以上はいけない!」
保健室に響く徹也の悲鳴と関節が極まる音
「君たちプロレスは他所でやりなさい。結衣さんも大丈夫そうだし」
森は3人を保健室から出す
「…ホントに彼と瓜二つの容姿…生きていてよかったよ”プロト
森は窓から校舎から出て行く3人、徹也と結衣を眺める
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