エロ童貞紳士な僕が推しAV女優に迫られて
もろもろこしこし
短編
私はエロい。
それは自他共に認めている事実である。
私は大学2年生という大人と子供の瀬戸際に位置しているが、アダルトなビデオを手当たり次第に視聴しているため、「エロ大魔神」や「エロ神様」というあだ名が定着してしまっている。
私はこのあだ名に関して、不愉快だとは思っていない。なんなら誇らしいと思ってすらいる。
「性欲」という人間にとって当たり前の欲に正直に生きていて、それを認められているのだから。
多くの人間たちは、性欲を恥ずかしいものだと思い、それを覆い隠し、それが不倫などという形で発覚すると四方八方からバッシングを受ける。
それだけ性欲があるのであれば、最初から隠すことはなく、「3股したいです!」くらいテレビで言ってやる度胸さえあればこれだけの批判はなかったと思ってしまう。
話はずれたが、私は女性が大好きである。それもプロとして多くの男性を楽しませているAV女優様たちを心の底から尊敬している。
どんなイケメンでもどんな俳優でも必ずAVは見たことがあるだろう。そんな誰もを慰めてくれるAV女優様たちの凄さに気づき、僕はファンになっていた。
「おーい!小林〜!!最近、どう??いい子いる??」
こうやって聞いてくるのは、大学の適当な男である。
大学という広大な場所であっても、私がAVを好きで、愛しているという情報は目立ってしまっているようだ。
よくある自己紹介で、好きなものを聞かれたとき、どんな時も「AVです」と答えたのが問題だったかもしれない。まあ、別に気にしてはいないが。
話を戻すと、こいつが今聞いてきたいい子というのは、AV女優のことで、つまり、良い感じのAVを教えてほしいと言ってきてるだけという下心満載の発言である。
そして、このような下心男が僕の元に毎日訪ねてくるのである。
まあ、仕方ないから返事はするが。
「そうだな。最近は菊川ねね様がオススメだぞ。」
「そんな子、初めて聞いた!!」
「まだ3作ほどしか出演していないからな。」
「そうなのか!!ありがとう!!チェックするよ!!」
そう言って、下心満載男は気分良く帰っていった。
はぁ、こういうのは疲れるけど、まあ、AV女優様たちのお力に少しでもなれればいっか。
私はめんどくさいと思いながらも、少しでも売り上げに貢献できればと思い、このような質問に関してもしっかり返答している。
そして今回、紹介したのは「菊川ねね」様。
デビューしてそう時間は経っていないが、その可愛らしいビジュアルと綺麗なお身体、心を唆るお声に一瞬で虜になってしまった。
正直、これまで見てきた中で一番の女優様かもしれない。
僕はこれから菊川ねね様を推しとして生きていこうと決めていた。
だから今日もオススメしている。
今日も帰って、良きAVを探すか。そう思って一人暮らしの家へと帰っていた時だった。
「や、やめてください!!」
女性の嫌がる声が聞こえた。
「いいじゃねえか!!お前、AV女優だよな!?俺、お前のやつ見たことあるぜ〜!!AV女優なんだから、一発やらせてくれよ〜!!別に一回くらいいいじゃん!」
ナンパ男がそんなことを喋る。AV女優?と気になり、女性の顔見ると、我が一推しの菊川ねね様だった。
もちろん嫌がる女性を無理矢理連れていこうとする時点で吐き気はする行為だが、その相手が菊川ねね様だと一瞬で気づいた僕はすぐに行動していた。
「あっ、もしもし、警察ですか?今、女性が乱暴されそうになってまして、」
大きな声で警察に電話をかけていた。びびっていたので、もちろん本当に。
「ちっ、めんどくさくなったじゃねーか!おい、逃げるぞ!」
そう言って、ナンパ男たちは一目散にどっかへ行った。
ふぅ〜、危なかった〜。もちろんどんな女性でもあんな下心満載男に掴まるのは可哀想だったけど、菊川ねね様が助かってよかった〜。
「あ、あの〜」
よし、まあ、これで解決したことだし、今日は帰って菊川ねね様の中でもお気に入りの純愛系で抜きましょうかね!!
「あ、あの!!」
「はい?」
そんなことを考えていたら、目の前に菊川ねね様がご降臨されていた。
「あ、あの!た、助けていただき、あ、ありがとうございます!!」
「いえいえ!!菊川ねね様のお役に立てたのであれば、これほどファン冥利に尽きることはありません!!こちらこそありがとうございました!!」
神のような御方に感謝をされたので、恐れ多いと思い、そんな返答をさせていただいたら、少し驚いた顔をされていた。
「え??え、えっと、私が誰か知ってるんですか?」
「もちろん!!菊川ねね様です!!菊川ねね様のおかげで毎日幸せに過ごさせていただいております!!その可愛らしいビジュアルと綺麗なお身体、心を唆るお声が大好きです!!本当にありがとうございます!!」
おっと、熱くなって、神への想いを語ってしまった。
まあ、仕方ないことだろう。
「あ、あ、ありがとうございます!、、、は、初めて面と向かって褒められました。」
ねね様のお顔は少し赤くなっていた。その理由はよくわからないが多分さっきまでピンチだったから熱くなってるだけだろう。
よし、愛も伝えれたことだし、帰りますか!
今日は良い日だったな!!
「それではお気をつけて!私は帰りますね!!」
「えっ??」
私が帰ろうとするとなぜかねね様は驚かれていた。
「どうされましたか??」
「え?えっと、いや〜、この後、送ったりとか、連絡先とか聞いたりしないのかな〜って!」
どういうことだ??よくねね様がおっしゃっていることがわからない。もしかしてお送りしたほうがよかったのか??
「大変申し訳ありませんでした。ねね様のプライベート情報を私のような者が知らない方が良いと考え、ねね様をお家までお送りするという考えに辿り着くことができませんでした。ねね様のご連絡先など、私のような下々が知ることではないので、それはお聞きできません。」
「そ、そうですか、、、で、でも!お家まで送ってもらおっかな〜!!」
「かしこまりました!お家までお送りさせていただきます!!」
「よ、よろしくお願いします、、、」
なんだかよくわからないけど、ねね様のお家までお送りさせていただくことになったぞ!?
これほど生きててよかったと思うことはないな!!
うん!!明日死んでも悔いはない!!
そんなことを考えていたら、もうねね様のお家に着いてしまっていた。
「それでは、私はここで失礼させていただきます。」
「えっ??えっと、あの、、、」
これ以上一緒にいるのはねね様によくはないと思い、帰ろうと思ったのだが、何かねね様はおっしゃりたいことがありそうだ。
「どうされましたか??」
「え、えっと、あの、連絡先とか交換しませんか??」
ん?ねね様のご連絡先??私のような者が持っていたら、もし団体に囲まれ奪われでもしたらやばいな。
「申し訳ありません。私のような者がねね様とご連絡先を交換させていただく資格は無いと存じておりまして。」
「い、いや!!資格とかいりませんから!!はい!!スマホ貸してください!!」
そうおっしゃって、ねね様は私のスマホを取って、何かしらを行なっていた。
「これで、LINEに私を追加しときましたから!!絶対返信してくださいね!!今日はありがとうございました!!」
顔を赤く染めながら、ねね様は自宅へと入っていかれた。
この後、私とねね様、いや、私とねねがどうなったかなんて知りたい奴がいるのだろうか。
実った恋ほど語るに値しないものはない。
それでも一応結果だけ報告すると結婚した。
ファンである私がどれだけねねと距離を取ろうとしても、ねねはその距離を詰めてきた。
「私酔っちゃったなぁ〜、ねえ、君の家に行ってもいい??」
とか
「え??おっぱい触ったことないの??しょうがないなぁ〜、はい、君なら触ってもいいよ?」
とか
「ねえ、私、本当に愛のあるエッチってしたことないんだ〜。どういう感じなんだろうね〜。」
とかとか。
もうわかってるよね?
いくらエロ童貞紳士な僕でも、一推しのAV女優様から攻められたらもうイチコロでした。
あ〜、もう幸せです!!
エロ童貞紳士な僕が推しAV女優に迫られて もろもろこしこし @moromorokoshikoshi
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