2018年、推し旅。
神山雪
第0話 初めに。
*これは、紀行文でも旅情小説でもなく、クロサキイオンがある夏に行った「推し旅」の記録である。
NHKやBSプレミアムで放送される30分程度の旅番組が好きだ。「ふるカフェ系ハルさんの休日」とか、「旅ラン」とか、「パン旅」とか。海外の番組なら「レイチェルのおいしい旅レシピ」とか。たった30分に、マニアックな情報や「うまそう」と綺麗な景色、そして、旅をする人間の「好き」が詰まっている。私は主に、ハルさんみたいな休日過ごしたい、と思いながら見ている。
これを書いている2021年現在はコロナ禍。なかなか旅をするような状況でもなく、気軽にどこかに行けるような雰囲気でもない。それでもだんだん「どっか行きたい!」という熱が出てくるようなもので。
そこでふと、昔の旅の記録を書いてみよう、と思い至った。
最近「深夜特急」を読んでいるので、沢木耕太郎の文章に充てられたのかもしれない。目が辛くないとか読みづらいとかが全くなく、文章が体に馴染むのである。過剰な装飾も「オレってイケてる」と言わんばかりの洒落た感じのない。雑味のないウーロン茶のように喉にスルッと落ちる。
しかし私のこの旅の記録は、「インドのデリーからイギリスのロンドンまで乗合バスで行く」という壮大なスケールの旅情小説ではない。
再度念を押す。これは、そこまで旅がうまいわけではないクロサキイオンが初めて行った一人旅。すなわち、「2018年、推し旅。」の記録である。
1日目は大阪市民体育館、二日目は京都・鞍馬寺の、一泊二日の弾丸旅行。1日目はスケオタ歴10年以上になってしまった私の「最推し」スケーター、ロシアのセルゲイ・ヴォロノフが出演するアイスショー、THE ICE2018大阪公演夜の部。2日目は今日に至るまでせっせと続けているソシャゲ「陰陽師」の「最推し」式神である大天狗に思いを馳せて登った鞍馬山。
……どうでもいいけど、「ふるカフェ系 ハルさんの休日」のハルさんって、カフェについてもそうだけど、「建築」について詳しいからすごいよね。
そんなわけでいざ、まずは大阪へ。
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