夢百夜噺 【ユメヒャクヤバナシ】

神稲 沙都琉

第1話 ダレモイナイ 第1夜

夜中に静か過ぎて目が覚めた。


静か。無音というべきか?


室内のモーター音。

空気の対流で起きる、あらゆる音。


外の人々のたてる音……車の行き交う音、

話し声、歩く音。


全てがなかった。


風の音さえ。


窓のカーテンをあけて外をのぞく。

綺麗な星空が見えた。


見渡す限り、真っ暗だった。

家々の灯りが一切ない。

信号やネオンなどの人工的な灯りも。


少し怖くなり窓を少しだけあける。

手が出るだけのスペースをあけてそっと手を外に出してみる。

風が心地よく手に触れる。


つめていた、息をはきだした。


瞬間、我に返り、部屋の電気のスイッチを

押す。何度押しても虚しいカチカチという

音だけが響く。


手探りで部屋を移動しなんとかキッチンにたどり着く。


冷蔵庫をあける。


やはり、というべきか。


電気はつかず温く(ぬるく)なった飲み物たちがいた。傷みかけた食べ物たちも。


…………そんな夢をみた。

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