信仰
プラのペンギン
男の信仰
「昔、太陽を崇拝する者がいた。彼は盲信するあまり陽の光を見つめたあまり光を失った。昔、水を崇拝する者がいた。彼女は水を神聖視するあまり体を枯らして死んだ。昔、炎を崇拝する者がいた。彼は火に身を寄せるあまり体に炎を纏って死んだ。昔、大地を崇拝する者がいた。彼は崇拝する大地を離れることができず災害に身を埋めた。どいつもこいつも愚かなものだ。闇を崇拝する俺にはどんな仕打ちがあるのだろうな。」
黒ずくめの男はそうつぶやいた。荒野の岩場は焚き火があってもだいぶ暗かった。男は周りに座る仲間に話を続ける。
「闇はいい。闇はどこにでも居る。あらゆるものは光によって存在を認められる。光がないと存在することすらできない。ただ闇は光がなくとも存在できる。闇にあるのは闇だけだ。つまりすべてに先行するものが闇だ。我々はそういう信仰だ。だが、俺は正直闇が怖い。暗いのは怖いし、危ない。信仰はしているがいわゆる実践はしない。それだって信仰の形だ。」
そう言って男は火に薪を焚べた。
信仰 プラのペンギン @penguin_32
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます