3. Continuous Expedition to the Dream World and Its Mental Effect

1 はじめに


夢は、睡眠時に体験する、幻覚に類似した心像である。視覚として現れることが多いが、それ以外の感覚、つまり聴覚や触覚、ときに味覚、運動感覚を伴う。夢には古代から言及があり、宗教的な概念と結び付けられることが多かった。現代でも夢占いや創作の材料になることがある。夢に関する科学的研究も数多くあるが、いまだに謎が多い。そこで本研究では、実際に夢の世界への探索と記録を試みることで、そのプロセスへの理解の足掛かりを作ることを試み、さらに精神への影響を確かめた。


2 実験の方法


準備段階として、閉鎖された部屋に被験者を幽閉し、ベッドに拘束する。ベッドの脇には筆記用具を用意し、覚醒後即座に記録させられるようにする。その後、ベンゾジアゼピン系の睡眠導入剤を投与し、被験者を睡眠状態にする。被験者が自然覚醒したら、見ていた夢の内容をノートに記録するように指示する。


この実験を3か月間繰り返す。さらに、定期的な被験者へのインタビューとカウンセリング、必要であれば各種身体検査を行い、精神への影響を観察する。食事は十分に与える。


3 実験結果


3.1 夢の内容


夢の内容を時系列とともに以下に示す。


6/13

変なアニメを見てた。部屋の隅に何かピンク色のものが落ちてた。はっきりは覚えてない。全体的にごちゃごちゃしてて思い出せないけど、はっきり覚えてるのは高校時代の先輩に袋入りの原稿用紙を貰ったこと。


6/14

知ってる場所だった。でも来たことがない場所だった。具体的にどんなとこかは思い出せない。家だったかもしれない。学校だったかもしれない。おばあちゃんちだったかもしれない。それらが全部繋がってたかもしれない。


6/15

体長20mくらいの二足歩行するビーバーと戦ってた。そこに電車が現れてその中で人間が増殖して満員電車になり、そのまま密度が増えてブラックホールになるのが見えた。


6/17

どこかの食堂。ビュッフェみたいな感じ。うどんを取ろうとしたら人が多すぎて取れなくて、前の人が多く取りすぎた分をくれた。ついでにサラダもくれた。次に白玉団子をとった。水に浮いたのを箸でつかむはずだったけどほとんど沈んでいて取れなかった。水に手をいれてぱちゃぱちゃしても取れなかった。


6/19

前歯が2本抜けた。


6/22

学校の先生とクラスのみんなが話していた。誰かが先生を馬鹿にするようなことを言った。自分もふざけて馬鹿にしていた。すると先生が怒鳴りだした。自分はエスカレートしてみんなも便乗した。先生はぶっ殺すぞと言った。


6/23

自宅の風呂に誰かがいて刺しあいになった。それで私が相手を殺した。罪悪感の中リビングに戻る。その後母親と買い物に行くことになった。駅の近くのスーパーに行った。母親に遅れて入ると機械でチェックされた。食品売り場へ行くとA~Eまでの表示があった。多分鮮度表示だと思う(Eが新鮮)。母親についていき細かい道を通ったりする。続けて雑貨売り場へ。あらゆる商品に謎の%表示があった。その中で道を塞ぐおじさんと、足を引っかけてくる青年がいた。詰め替えシャンプーを見ると76%の文字(赤色)があった。歯ブラシコーナーの奥から道を塞ぐおじさんと足かけお兄さんが再登場。彼らは母親を狙っていた。私が2人の首を地面に押さえつけて止めると、お兄さんは苦しみだす。おじさんは「また殺すのか?」と聞いてきた。どこからともなくスーツ姿の謎のお姉さんが登場、私は直後に気を失った。そしたらまた今日の最初に戻ってて、風呂で誰かを殺すところからループし始めた。一方母親もループ前の記憶を受け継いでいるらしかった。あるループで母親は倒れた私を発見する。頭上に白色で0%の文字があった。すると私も倒れた私を見た。お姉さんになぜループしてるはずなのにと聞くと、お姉さんはなぜ世界の仕組みを知っていると聞き返した。


6/29

おばあちゃんの家の風呂の一角にシャワールームがあって、設定温度を下げると南極に行けると書いてあったけど、通報されそうなのでやめておいた。


6/30

布がほつれるように爪がどんどんほつれていった。


7/2

水の入った壺から煙が出てて、そこに500円を投げ込んで壺に顔を突っ込むと変な洋館に飛ばされた。


7/3

無限ループしていた。舞台は学校のようなところ。私はボスの下で働いていた。下でボスと敵が切り合ってる間に上から刀を落として頭に刺す仕事だった。ボスに当ててはいけないので緊張した。見事成功して、敵は死んだ。下で祝う声が聞こえたが、最後まで行く前に逃げた。そこで無限ループを思い出した。今まで学校から帰ろうとしても、帰り道にしんで氷漬けになって連れ戻されていることを思い出した。それを思い出して学校から逃げようとしたら、いつの間にか階段を登っていた。4人の女子(同じボスの元で働いているようだった)がやめますといいながら階段を降りると思いきや登っていた。階段は上に行くにつれて細くなったり、現実ではありえない形になったりして登りにくくなった。12階にあった真実の配管に顔を突っ込んで映像を見た。映像はそんなに怖くないがなぜか強烈な不安に駆られて叫び、窓から飛び降りた。飛び降りた瞬間にこの学校が4階建てだったことに気づいた。


7/5

現代日本の家で江戸時代のような裁判が行われていた。私は将軍として人の首が切れるところを見た。ドアを開けると縛られた罪人が膝立ちしていて、後ろには執行人と思わしき刀を帯びた人がいた。私以外の全員はこの状況に慣れているみたいだった。罪人でさえ落ち着いた表情だった。もう後は斬るだけという状態だった。私は罪人の目の前に座った。ああ始まるんだという雰囲気の中で私は少し目を逸らした。その雰囲気はジェットコースターで今から落ちるんだという感じ、歯医者で今から歯を削るんだという感じを何十倍にもした感じだった。奉行の合図とともに執行人は刀を抜いて、そして罪人の首は飛んだ。かなりあっさりツルンと切れた。血も出なかった。転がった首は目をかっぴらいて激しく震えていた。


7/27

電車で帰る


なぜか先生がついてきている 昔の家


帰り際にまだ何か提出してないものがあると言われたので言った


家まで押しかけられトイレ中の母親に呼びかける


母親が出てきて私が怒られる


早く出しなさいと言われ大量の未提出のままの書類を提示する


私は母親に下で待ってる先生のもとに押されて行く


弟が出てきて私をバカにするので殴りかかろうとする


弟は先生に向かって叫んで先生をバカにする


それを見て先生が怒る


先生は泣きながら弟にハサミを突き立てる 弟は転がって泣き叫ぶ


私は面白すぎて大笑いしながら写真を撮る


母親はそれを見て怒る


7/29

またループ エレベーターである場所に行くと白黒の背景に□×□=□という式が出てきて左辺の□にある男と自分を入れると右辺にその子供の顔のような絵(ドットの線画)が出てくる、と同時に親のどちらかが消えるので消えなかったほうと子供をかけ合わせるを繰り返すとできる子供の顔がどんどん歪んでいき、最後には丸い輪郭の真ん中に染みのような円があるだけになって暗転 次のループではその場所に行っただけでそのまま暗転して、膝にさっきの子供の絵ができてズームされて棒が突き刺され生々しい血と肉がでる


8/21

ママはプードルの首を絞めた。殺しきれなくてプードルはこっちに来た。目は白かった。私は泣きながら突き放したけど結局ギターのストラップで絞め殺した。私は死んだ犬を袋詰めにして片付けた。それからひと眠りして、お昼ご飯を食べた。両親はいなくて大量のファストフードがリビングのテーブルに置いてあった。


8/22

電車の中で酒に酔った老人が怒る。


8/24

おばあちゃんが死んだらねばねばした肉塊になって、私はそれを花柄の風呂敷に包んで高いところの引き出しにしまった。


8/29

何も見ていない。


8/30

何も見ていない。


8/31

何も見ていない。


3.2 被験者へのインタビュー


失敗した。


3.3 身体の変化


体重は3kg増加。慢性的な倦怠感、頭痛。床ずれが見られる。


4 考察


夢と現実は区別されるべきものではない。私のいるべき場所は現実じゃない。どうしてこんなことに? 私が弱いから? 世界が苦しいから? いずれにせよ、どうしようもなかったのだろう。防げることではなかったのだろう。毎日が同じことの繰り返しで、それが嫌で社会を捨てたのに、結局何も変わらなかったじゃないか。非日常が欲しくて日常を捨てたら、非日常は手に入らず、何もしなくなっただけだった。夢の記録なんてものも読み返してみればただのがらくただ。何のためにこんなことをやってたんだろう。何かを成し遂げたかったから? それともまだ研究をしたかったの? 何にせよ、どこに行っても怖いしどこに行っても私は何もできない。結局どこにも居場所なんてのはないし、何かを成し遂げることもできない。私のいるべき場所は、どこにもない。


5 参考文献


私:私、私の頭、前頭葉とか、うんぬんかんぬん

あとなんか難しい本

多分これで全部

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