第11話 アイトプとの出会い:兄
階段から落ちて、二週間が経った。松葉杖がやっと取れて歩けはするのだが、まだ完全には治ってはおらず、巻くものは巻いている。
そんな俺は、会社には杖があるときから頑張って通ったが、正直不便すぎて疲れていた。足が思うように使えないとこんなにも疲労が違うのかと、妹を恨む。
「はぁ、癒しが欲しい」
俺は、究極に癒しを今求めている。会社から帰ってきて癒されたい気持ちと、こんな身体になってしまって、誰かに癒されないとやっていけない気持ちが膨らんでいる。しかし、そんな俺は今にピッタリな、ある癒しアプリを最近見つけた。
それは、アイドルトップガールという、アイドルと話せるアプリケーションだ。略してアイトプというらしいが、これを始めてから正直毎日仕事から帰るのが楽しい。
「美女とコメントを通じてトークできるんだもんね」
俺はにやにやと、今日も好みの子はいないかなと、配信者一覧を見てはプロフィールを漁る。
ちなみに、このアプリと出会ったきっかけは、ツリッツァーの広告だった。いつもは見逃すはずの広告だったが、最近人気の元気っ子ねねちゃんとやらの宣伝動画を眺めていたら、いつの間にかインストールしていたのだ。弱った男は落としやすいとは、こういうことなのだろうか。そうだ、弱ったときは、なんだって喜べてしまうだろう、男は。みんな、気を付けた方がいいぞ。
こうして、アイトプを始めていた俺だったが、思っていたよりも面白く、気が付けば毎日の楽しみとなっていたのだ。明るい美女たちに囲まれて、俺のライフは充実していると思う。
俺はIT企業勤務で、割と給料が高く、今は金があり投げ銭も様々なアイガールたちに送っている。大きな投げ銭を送ると、その子のランキングも上がり、大喜びする姿を見ることが出来るのだ。
「最高」
ケンという名前で、今の辛さなんか吹き飛んでしまえるくらい、俺はアイガールとの日々を楽しんだ。
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