95話目(クリスマス)

凍える様な冬の夜に、この時期特有の煌びやかな唄が流れる。

吐き出した息は白なって空に昇る。

その向こうに君が居た気がして手を伸ばせば、触れられずに消えてしまう。

不意に涙が零れて、降り積もる雪に滲んだ。


もう一度だけ逢いたい


そう願ってしまうのは、この心を満たす苦しい恋を君に伝えたいから。

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