55話目

ダンボールに入った黒猫

それが僕さ

飼い主さんに捨てられちゃったんだ

容姿が不吉だとか、紅い眼が怖いとか

僕はこのまま、誰にも知られず死ぬんだろうな

短い人生、それなりに楽しかったかな


なんでだろう

涙が出るんだ

あぁ、この涙は僕を覗き込む君がくれたんだね

君は暖かい手で僕をそっと抱き締めてくれた

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