第18話 毒蛙


「……えっと、確かココだよな……ん?」


 小さな魔力反応を探知した地点へ赴くと、1匹の魔物を発見。


「うっ、ポイズントードだ……」


 小さな魔力の正体は「ポイズントード」であった。

 見た目は緑・赤・黒の三色といかにも毒丸出しで、あのヒュドラの好物としても知られている蛙系の魔物である。


(確か、脅威ランクはDランクのハズ……)


 跳躍力以外の身体能力はそれほどでもないのだが、あの見た目と毒の威力が脅威ランクを上げさせているようだ。

 そんな考え事をしていると、突然ポイズントードが舌を伸ばして俺を捕獲しようとする。


「うげっ!? なんか気持ちわるっ!」


 舌は紫色でとても毒毒しく、絶対に触れたくはないものだ。

 そう思い、慌てながらも身を守るために魔法を唱えた。


「すっ、水壁すいへき!」


 水の障壁を出現させて舌を弾く。

 それによりポイズントードの体勢が崩れたので、透かさず接近して魔法を唱えた。


水刃すいじん!」


 高水圧の刃でポイズントードを斜めに切断して一撃で屠る。

 すると毒袋が破れてしまい、中に溜まっていた毒液が放出。


「うわっ!? な、なんだっ!? ……ん? なんか、身体が痺れてきた……!?」


 モロにその毒液を被り、次第に身体が痺れてくる。

 何やら毒沼と似た毒性だが今被った毒液の方が強力なようで、徐々に身体の痺れが強まってきた。

 そのことに気づき、動けなくなる前に解毒魔法を。


「で、デトックス!」


 既存の解毒魔法で毒を中和。

 急な事態に少し焦ったが、身体の痺れはほどなくして消えたので、安心して落ち着きを取り戻す。

 そして落ち着いたあとは、衣服に付着した毒液を落とすべく浄化魔法を唱えることに。


「クリーン!」


 この魔法は浄化魔法と生活魔法の兼任で、効果は清潔と消毒の2つを担う使い易くて便利な魔法なのだ。

 クリーンの脳内説明をしているうちに、衣服が見る見る綺麗になっていき、ついでに汗を掻いた俺自身も綺麗になっていった。

 やはり使い易くて便利な魔法である。


「衣服も俺も綺麗になったし、さっさと街へ帰ろう!」


 そのあとはポイズントードを黒箱の中へ収納して、再び街の方へ向けて歩き出した……




「……はぁ、またか……」


 再び小さな魔力反応を探知。

 恐らくはまたポイズントードであろう。


「今度は離れた位置から倒そう……」


 そう呟きながら、魔力反応があった場所へ向かうことに。



「……あぁ、やっぱりな……」 


 やはりポイズントードであった。

 だがポイズントードはこちらに気づいてはいないようなので、それ好機と見てその場で魔法を唱える。


水穿すいせん!」


 線状の水がスクリュー回転をしながらポイズントードの顔面を貫くと、その場に倒れて動かなくなった。

 因みに顔面を狙ったのは毒袋が胴体にあり、その部位を傷付けないためである。


「ふぅ、今度は大丈夫だったな!」


 毒袋を破らずに済み、安堵しながらも慎重にポイズントードを黒箱へ収納。



「よしっ、今度こそ帰ろう! ……というか、早く帰りたい!」


 そう嘆きながらも、改めて街へ向けて歩き出すのであった……

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