317.邂逅
※本日も二話投稿です。二話目には注意事項がありますのでそちらを読んでから読み進めてください。※
お爺ちゃんの『忘却の呪い』が治って直ぐに部落の魔族達が訪れて来た。
何故か急にお爺ちゃんの事を思い出して心配になって来たとの事だ。
きっと、『忘却の呪い』が消え、皆の記憶からお爺ちゃんの記憶が戻ったからだろうね。
それから僕が『暗黒大陸』に来た理由をお爺ちゃんに伝えた。
「……そうか、クロウくんは『魔王』を倒しに来たのか」
「ん~倒す訳ではないんですけど、話し合いで解決出来ればいいんですが……」
「……それは無理であろう。今の魔王は他者を受け付けないで有名だからな」
「やっぱりそうなんですね……」
「ああ、クロウくんや、『魔王』との戦いにも、この爺を参加させてはくれないかい?」
「え! いいんですか!?」
「勿論だとも、心なしか、先程の回復魔法で元気になった気がするのだよ。それに、孫が戦うんだ。爺が手伝わない手はなかろうーガハハハッ!」
「それは嬉しいです! お爺ちゃんと一緒に戦いたいですから! がはははっ!」
ヴィンお爺ちゃんも白熊お爺ちゃんと笑い方が同じだ。
ガハハハッ! という笑い声が心地よい。
僕の『次元袋』から幾つかの生活用品を渡して、お爺ちゃんが守っていた魔族達とは別れる事となった。
これから『魔王』と戦うからね……。
巻き込みたくないとの事だ。
自分達も戦うと言ってくれていたけど、ここにも子供達が沢山いる。
お爺ちゃんから子供達を守りなさいとの言葉で、魔族達も諦めてくれた。
そして、お爺ちゃんを連れ、レジスタンスの隠れ屋に戻った。
◇
「おかえり――――って!? お父様? …………ではない?」
ナターシャお姉ちゃんが首を傾げる。
「あ、お爺ちゃん! 紹介しますね! こちらが僕の奥さんのナターシャお姉ちゃんです」
「おお、これはまた綺麗な嫁さんじゃ。初めまして、クロウの爺、ヴィンセントと申す」
「お義祖父様!? は、初めまして、ナターシャと申します」
そして、今度はリサが現れた。
「くろにぃ、おかえり~、……あれ? アグウスお義父様……? 老けました?」
「違うよ! お父さんのお父さん! 僕のお爺ちゃんなの」
「ええええ! ご、ごめんなさい! 初めましてお義父様、くろにぃの妻のアリサです」
「ぬっ? クロウくんは嫁さんが二人もいるのか! 初めまして、クロウの爺、ヴィンセントと申す」
慌てるリサも物凄く可愛い。
「あ、お爺ちゃん、他にも奥さんがもう二人いて、婚約者が二人います」
「…………クロウや」
「え? はい?」
「こんな別嬪な嫁さんが二人もいるのに、更に四人もいるのかい?」
「あ、あはは……少し事情がございまして……」
「事情?」
「あ、あはは…………助けたのをきっかけに……」
お爺ちゃんが納得したように頷いた。
「なるほど……アグウスの息子だものな。あいつは一人の女性を愛していたはずなのだが……」
「フローラお母さんですから……」
「あ、ああ……そう言えばそうだったな」
僕とお爺ちゃんは何かを納得したように、小さく笑った。
「それはそうと、お義祖父様はどうして『暗黒大陸』に?」
リサの疑問に、僕は一から説明した。
◇
「「お義父様……」」
リサとナターシャお姉ちゃんがお爺ちゃんを両側から抱きしめて泣いていた。
「ほっほっほっ、長生きもするものだな! こんな美人さん達に抱きしめて貰えるだなんてな」
お爺ちゃんが嬉しそうに笑っていたけど、これからはう~んと幸せになって貰わないとね!
それはそうと、お婆ちゃんもこの大陸にいるのなら、絶対に見つけ出したい。
セナお姉ちゃん達は戦いが控えているので、お爺ちゃんの事はまだ話さないでおく事にした。
『魔王』との話し合いが終わった後に紹介する事にしよう。
こうして、僕はお爺ちゃんを偶然見つけ出し、『魔王』に向かう事となった。
◇
四人の奥さん達、まだ二人は婚約者だけど――――皆から『オベリスク』を破壊したとの連絡が入った。
皆から連絡が来た直後、『魔王城』を覆っていた物々しいバリアが割れ始め、割れる音と共に粉々になった。
事前の打ち合わせ通り、直ぐにレジスタンス達が立ちあがる。
そして、僕とリサ、ナターシャお姉ちゃんと白狐達、お爺ちゃんで『魔王城』に突入した。
正面入り口からはモンスターが溢れ出ていた。
「クロウ様、向こうから回れる道があります」
案内役のケニアさんに言われた道に向かう事にしたその時。
「クロウくん。ここは私達に任せて欲しい」
「ナターシャお姉ちゃん……」
「大丈夫! 今の私はちゃんと強いし、白狐達もいる。ここで……待っているからね? ちゃんと『魔王』をぶっ飛ばしてきてね?」
「……うん! 危なくなったら直ぐに逃げるんだよ?」
ナターシャお姉ちゃんは可愛らしく、敬礼の格好をした。
こうして、僕はナターシャお姉ちゃんと白狐達、レジスタンス達を置いて、リサとお爺ちゃんと共に、ケニアさんが案内してくれる道を進んだ。
直後、物々しい戦いの音が聞こえ始めた。
◇
ケニアさんの案内で思っていた以上に楽に『魔王城内』に侵入する事が出来た。
「クロウ様、この先が魔王様の謁見の間です……どうか、お気を付けてください……」
「ケニアさんありがとう。ここからは任せてください。必ず人と魔族の和解を成し遂げますから」
ケニアさんに別れの挨拶をして、僕達は『謁見の間』に入った。
そこにいたのは……僕が想像もしていなかった事が待ち受けていた。
「う、嘘……あの
「そ、そんな……」
玉座に座っている禍々しいオーラを出している魔族。
初めて会う魔王だ。
だが……
僕は、いや、僕達……僕とリサには……何度も見たその顔だった。
「
玉座に座っていた魔族は前世の父の顔のままの魔族だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます