205.軍事強化
僕からおじいちゃんに、帝国の現状を報告してから一週間が経った。
おじいちゃんから早急な件で、王様に面会を申し込んで、王様に帝国の現状を報告したそうだ。
しかし、まだ表立った波は起きていないので、問い質す事も出来ないようだった。
王国内でも軍事強化をしたかったけれど、逆にそれを理由に戦争を吹っ掛けられる訳にも行かないので、難しいとの事だった。
そんな中、王様より、直々内密にとダグラスさんに面会を申し込んだ。
面会を終えたダグラスさんからは、王様の件で報告があると、僕を訪ねてきてくれた。
執務室にダグラスさんと僕だけになっている。
「ダグラスさん、まずはお疲れ様でした」
「いいえ、これも総帥の仕事ですから」
ダグラスさんは、総帥になってからますます精力的に仕事を頑張っていた。
無理はしないで欲しいと何度も話したけど、決して無理をして働いてる訳ではないので安心してくださいって逆に言われてしまった。
「それでは、グランセイル王国の王様より、
何故、『王命』ではなく頼みなのか。
それは、アカバネ大商会があまりにも大きな規模になっているからだ。
今では隣国のテルカイザ共和国とフルート王国とも大きな繋がりになっている。
幾ら、グランセイル王国が強いとはいえ、アカバネ大商会が見限ってしまうと大混乱になるだろう。
なので、『王命』ではなく、頼みなのだろう。
王家は絶対的な権力を象徴しているはずなのに、意外とこういう所はしっかりしている。
多少エクシア家も関わっているとは言え、この判断から見えるのは、今の王様は凄く賢い賢王様に違いない。
「表立って軍事強化を図ることが出来ない現状、アカバネ大商会の
「ダグラスさんから見て、グランセイル王国は
「!? ――――いいえ、彼の王様からは一切のおごりは見えませんでした。周辺の古い貴族はおごり高ぶっている者も沢山いますが、あの王様とそのご子息様なら問題ないでしょう」
ダグラスさんが一つ驚いて、意見を述べてくれた。
「分かりました。僕も今の帝国が
「――――ははっ、かしこまりました」
こうして、僕達アカバネ大商会はグランセイル王国を全面的に支援する事になった。
元々、グランセイル王国やテルカイザ共和国、フルート王国と事を構えたいなんて、微塵も思ってないけどね。
ダグラスさんから秘密裏に、王様に承諾の返事をして貰った。
実は既に『
元々、大橋事業とか、家の建設の為、大口買取契約をしていたからだ。
その一番の契約口は、テルカイザ共和国のジュマル領という領で、どうやら鉱山が盛んな領だそうで、大陸の多くの鉱物を輸出していた。
その大半……というか、何故かジュマル領主様の好意で、ほぼ全てを売ってくれた。
勿論、使い道が多い鉱物は出来る限り買い集めていた。
ソフィアにその鉱物を使い、服同様、武器を量産して貰うようお願いした。
また分体を多く作ってくれて、量産体制を整ってくれた。
ソフィア、いつもありがとう!
更に、ポーションの作りも急ピッチで進めた。
どちらかと言うと、装備よりもポーションの有無が戦いでは大きな鍵となるらしい。
回復魔法はそう簡単に使えないようだからね。
帝国が強い最も大きい理由は、その回復能力だという。
教会を中心に、回復士とポーションで長期間戦えるのが帝国の強い理由だそうだ。
◇
本日、やってきたのは――――
僕がずっとお世話になっている、奴隷伯爵さんのお店だった。
しかし、中に入るも誰もいなかった。
確か、奴隷伯爵さんって商売する時だけ、開店するそうで、お店はもぬけの殻だった。
奴隷伯爵アドバルさん。
もしかしたら――――と思って来てみたけど、やっぱり会えなかった。
実は、奴隷達は届かなくなって久しい。
僕が入学した頃から既に送られて来なかった。
それでもアドバルさんの紹介で、数人の奴隷商人さんから定期的に奴隷は購入していた。
その奴隷達も皆、今では正従業員になっている。
今の帝国の現状を打開する方法。
そのほんの一握り可能性を求めて、奴隷伯爵さんを訪ねて来たけど、会う事は叶わなかった。
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