150.美男美女そして白熊
――前書き――――――――――――――――――――――――――――――――
2021/09/05 『スタン』表記を『雷属性魔法』に変更し、辻褄が合うように変更しました。
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おじいちゃんから稽古がしたいと言われたけど、おじいちゃん……お姉ちゃんの攻撃もろに受けているから大きい怪我をしていた。
おじいちゃんはそれを我慢していたけど、僕の精霊眼で丸見えだからね。
だから稽古するって言うから『雷属性魔法』で眠らせてあげた。
うん、眠らせてあげただけだから!
すぐに『エリクサー』と『ソーマ』も掛けておいたから心配ないね。
うん、命に別状はなし!
ピグリマ先生は即死級魔法だと言っていたけど、それは魔法『スタン』の場合だよね!
僕の雷属性魔法だとそれ程危険ではないと思う。
それと実はおじいちゃん、病気を患っていたんだよね。
『遅延の呪い』って病気だったんだけど……遅延って、何を遅延していたのだろう。
まぁ、厳密には病気ではないんだけどね。
この世界では多くの呪いがあるけど、何故か皆病気だと言っていた。
【お母さん~】
取り敢えず、お母さんに現状を報告しないとね。
【どうしたの~?】
【んとね! 今うちの学園におじいちゃん来ているの!】
【………………??】
【あれ? お母さん~?】
【あ、ごめんねクロウくん、なんか幻聴が聞こえたからもう一回話してくれる?】
【今、学園、おじいちゃん、来てる】
【えええええ!?!?】
お母さんが物凄く驚いた。
それからドタバタと、お父さんとお母さんが学園に来てくれた。
僕の屋敷から真っすぐ来れるのですぐに来てくれた。
「ほ……本当に、お父様がいらっしゃってる……」
「でもお義父様は何故ベッドで寝ているんだ?」
慌てる二人。
「えっと~、僕に会いに来てくださったみたいで、セレナお姉ちゃんと稽古してから、僕とも稽古しようとしたから、ちょっと眠って貰ったんです」
「えええ!? クロウ! 怪我とかしてない?」
お母さんが僕の体をベタベタ触ってきた。
「はい! 戦う前に雷属性魔法を掛けて、眠らせたから大丈夫ですよ!」
「え? 雷属性魔法で……眠らせる?」
「はい! 雷属性魔法って人に使うと一瞬で眠るから便利――――」
「クロウ!!! ちょっとそこ詳しく話しなさい!!!」
そして、お母さんに物凄く怒られた。
人に僕の雷属性魔法は使っちゃダメらしい。
命の危険はないと思うんだけどな……。
「しかし、お義父様はどうしてここにクロウがいるって分かったのだろう」
「それは、アカバネ新聞で読んだみたいですよ?」
「アカバネ商会かああああ」
お父さんが頭を抱えた。
「それで、本当に回復して大丈夫なのね? クロウくん」
「はい! 何度も試しているから大丈夫です!」
更にお母さんに怒られた。
それからおじいちゃんの出現からセレナお姉ちゃんとの件も話した。
セレナお姉ちゃんは生徒会の仕事で、この場にはいなかった。
◇
暫くして、おじいちゃんが目を覚ました。
「むっ!? ここは?」
「お父様!」
「ん? フローラではないか!」
「それは私の台詞です! お父様がいきなりいらっしゃるなんて……」
「ガハハハッ! 孫に早く会いたくてな!」
「まったく……」
「お義父様、お久しぶりです」
「おう、小僧も来てたのか」
「あはは……」
お父さんが気まずそうに苦笑いした。
「まあ、セレナディアがあれほど立派に育ってくれたし、小僧も少しは見直してやるか」
お父さんって、おじいちゃんの前ではとても小さく見える!
そんな意外な反面を見ていると――、
「しかし、ここからエクシア領まで相当な時間がかかるはずだが……フローラ達はどうやってここに?」
「えっ? 偶々ですよ、偶々王都にいたので」
「ほお? 先日、陛下にお会いした時は会いにすら来ないと嘆いておられたぞ?」
「ッ……」
お父さんが冷や汗をかいていた。
「まあお父様、そんな事どうでも良いではありませんか」
「はっ、何を隠しているかは知らないが……まあ良い、それとクロウティア」
「はい!」
「良く覚えていないが、どうやら儂が病気で倒れたみたいで悪かったな」
「おじいちゃん病気なんですか?」
「ん? ああ、怪我が
成程……だから
恐らく、遅延は受けたダメージが後から現れるんだろう。
「しかし……あの病気で倒れるなんて久しぶりだな、セレナディアも強くなったものだ」
「ッ!? お父様、あの病気で倒れられたのに、身体の調子が悪くなさそうですわ?」
「ん? そう言われてみれば、何ともないな?」
おじいちゃんとお母さんが不思議そうにしていた。
「お母さん、その病気で倒れると、どうなるの?」
「ん? お父様の病気はね……ずっと溜まり続けるの、そしてその限界が来たときに一気に発症して一週間は寝込んでいたわ……しかし、今回はどうして?」
どうやら遅延はただ遅らせるだけではなく、蓄積させて一気に発病させる呪いのようだ。
何分、病気ではなく呪いだからね。
普通なら一気にくる痛みが耐えられないはずなのに……おじいちゃんは今まで耐え抜いたのだろうか。
「それよか……身体の調子が良くなった気がするわい」
腕を回しながらおじいちゃんがそう話した。
「ん? ――もしかして、クロウくん?」
お母さんとお父さんが僕をジト目で見つめてきた。
「ごめんなさい……勝手に治しちゃまずかった?」
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