第18話 レベリング①

 今日はとても目覚めが良い!


 なんたって、冒険者さん達と狩りに行けるからだ。


 急いで支度して食事を取る。


「お坊ちゃま、本日からのスケジュールでございます」


 準備を終えるとサディスさんが声を掛ける。


「今からギルドへ行き、冒険者パーティー『スレイヤ』の3人と共にルシファーのダンジョンで三日間狩りを行って頂きます。その間必要な物資等はこちらに用意しておりますので、空間魔法で収納してくださいませ」


 サディスさんの後ろには食料やキャンプ用具がたくさん置いてあった。


「他の3名分も入っておりますので、少し量が多くなっておりますがお坊ちゃまなら大丈夫でしょう」


「は~い!」


 取り敢えず、荷物を全部空間魔法で収納する。


 しかし量がかなり多いけど全部入るのだろうか?



 - スキル『空間魔法』『魔法超強化』『魔法無限固定』『魔力超上昇』『魔法高速演算』により、術者『クロウティア・エクシア』の異次元空間の使用許可を獲得しました。スキル『空間魔法』がレジェンドスキル『異次元空間魔法』に進化しました。-



「はへ?」


 《天の声》さんからとんでもない内容のアナウンスで変な声が漏れた。


「どうかしましたか? お坊ちゃま」


 心配そうに聞いてくれるサディスさん。


「う、ううん! 何でもないです!」


 『空間魔法』が『異次元空間魔法』になったことで入る量が大幅に増加し、収納速さも一瞬で収納できるようになった。


 あの大量の荷物が一瞬で収納出来た。



 『異次元空間魔法』

 異次元空間が自由に使える。

 異次元空間は格納場所に限界はない。

 格納した物は時間停止する。

 使用者を選び接続させる事が出来る。


 - レジェンドスキル『異次元空間魔法』スキル『闇属性魔法』により、スキル『影封印』を獲得しました。-



「ひゃひ!?」


 て、《天の声》さん…………またなんてスキルを…………。



 『影封印』

 影の手で捕獲した生物(全ステータス量を足した数値が自分より低い者のみ)を異次元空間へ封印する。

 封印した者の時間は最大百倍から停止まで自在に選べる。



 影封印魔法のおかげで生き物も異次元空間に収納出来るのか…………。


 でも闇属性魔法の闇の手はビジュアル的に禍々しいので、あまり多用はしないでおこう。


 新しいスキルも獲得した事だし、行くとするか!


 僕はサディスさんに挨拶をし、屋敷から離れ転移魔法でギルド近くに向かいギルドへと入って行く。


 おお~、人がたくさんいる。


 本で読んだ通り、皆さん剣やら盾やらと、冒険者らしい格好をしている。


 ギルドへ入り、周りを見渡していると、綺麗な赤い髪のお姉さんが近づいてきた。


「君、名前は?」


「僕はクロウって言います」


「そうか、君がクロウくんだね、あれは持って来てるかい?」


 あれとは、サディスさんがパーティー『スレイヤ』さんに見せるようにと渡されたコインを見せる。


「うん。間違いないね。付いて来て」


 彼女はそう言うと外に出て行く。


 冒険者ギルドを探索したかったけど、恐らくパーティー『スレイヤ』さんだと思うので付いて行く事にする。




 数分程歩いた先は馬車所だった。


「アグネス! どうだった?」


「おう、こちらがクロウくんだ」


 そう言ってアグネスと言われた赤い髪のお姉さんは、他の二人のお姉さんに紹介してくれる。


 赤い髪のお姉さんがアグネスさん、緑色の…………えぇぇぇぇ!? 頭に耳が!?


「えぇぇぇぇ!? 頭に耳が!?」


 それを聞いた緑色の髪の猫耳お姉さんは苦笑いをする。


「僕は獣人猫族だからね~、クロウくんは獣人族見るの初めて?」


「はい! 初めて見ます! 獣人族――なんて――――――素晴らしい!」


「えっ? ちょっとクロウくん、耳は触らな……あ…………そんな触り……方した…………ら……あぁ…………」


 無我夢中でお姉さんの猫耳をもふもふしてしまった。


 ハッと我に返った頃には既に馬車に乗っていて、緑髪のお姉さん、ミリヤお姉さんは顔を赤くして「うぅーう…………お嫁にいけないよぉ――」とブツブツ言っていた。


 そしてもう一人の青い髪のお姉さんはローブを着込んでおり、如何にも魔法使いっぽい格好をしている。


 名前はサリアお姉さんだ。


「この馬車はルシファーのダンジョンに向かってんだ。二時間くらいで着くからそれまでゆっくりしなー」


 アグネスお姉さんが親切に教えてくれる。


「それと、身分を隠すためにも、このままタメ口でいくぞ?」


「はい、寧ろそっちの方が僕としてはありがたいです。年下の僕が皆さんから敬語なんて嫌なんです」


 そう言うとサリアお姉さんがキョトンとした顔でこちらを見つめる。


「不思議な、子、普通、貴族は、みんな、偉ぶるのに」


「えっ? 僕なんてそんな大した人じゃないですから、お父さんお母さんが凄いだけです」


「凄い、君、良い貴族に、なれる、絶対」


 あははは……サリアお姉さんには気に入られたみたいで良かった。


「あ、そういやクロウくん。君魔法使いって聞いたけど、あってるかい?」


「はい、魔法使えます」


「そうか。君も良い職能を授かったんだな。よし、魔法職ならサリアと一緒に後衛職だな」


「はい、分かりました! サリアさんご指導よろしくお願いします!」


「うん、任せて」


 サリアお姉さんは腕を上げムキムキポーズをする、全然筋肉ないけど、美人さんだから逆に可愛い。


 やっとミリヤお姉さんが立ち直り、獣人族の耳を勝手にもふもふしちゃダメって怒られた。


 猫に怒られた。とても可愛い。でもちゃんと反省して、これから勝手にもふもふはしないようにしよう。




 ◇ 




 二時間後。


 馬車がようやく目的地のルシファーのダンジョン前に着いた。


 ダンジョンは洞窟みたいなものを予想していたら、予想通り洞窟だった。


 入口前にはたくさんの露店があり、武器屋から食事まで色んな物が売られている。


「さて、ダンジョンに入る前に食品を買い込まないとな」


「あっ、食品はたくさん持って来ているので大丈夫ですよ?」


「ん? クロウくん、君は何も持って来ていないじゃないか」


 ジト目で見てくるアグネスお姉さん。


「僕、空間魔法が使えるので」


 と三人の前で食品を取り出す。


「えっ、クロウくん、詠唱は…………? え?」


 どうやらサリアお姉さんは魔法より詠唱が気になるみたいだ。そう言えば以前お母さんも気にしていたな。


 詠唱破棄はかなり高難易度のスキルということだったね。


「あはは…………たまたま運が良くて獲得出来たんです」


「え、君、レベル、いち、だよね?」


「はい、まだモンスターとか戦った事無くて…………」


「レベル、いちで、詠唱破棄……?」


「あぁ、秘匿って、もしかしてこういう事だったのか、とんでもないお坊ちゃんを預けられたものだな」


 3人ともそんなに見つめてくると恥ずかしいよ……。


 それはともかく僕達は早速ダンジョンへ入って行った。




 最初は洞窟に見えたダンジョンの入口だったけど、入ってから少し道なりを歩くと、そこには広大な高原が広がった。


「す、すごいぃぃぃぃ!」


 あんな山の中にこんな高原が広がるなんて、ダンジョンって不思議で凄い!


「あはは! 純粋な反応で良いじゃん。このダンジョンは高難易度だからモンスターも強いからな?」


 あちらこちらで戦ってるパーティーを見かける。


「うちらは顔が売れてるから、ここだとちょっとややこしくなるから、少し下階に行くぞ」


 アグネスお姉さんがそう言って、高原の入口の脇にある魔法陣の上に立つ。


 僕達もそれに続き、魔法陣の上に立つ。


「移動、四層」


 アグネスお姉さんがそう呟くと光に包まれ、僕達が魔法陣から消えた。





 名前 クロウティア・エクシア

 年齢 5歳

 性別 男

 種族 人族

 職能 アザトース

 レベル 1

 HP 520/520

 MP 45000/45000

 力 10×10=100

 速 10×10=100

 器用さ 10×10=100

 耐 10×50=500

 魔力 10×300=3000+5000

 精神 10×300=3000


 『レジェンドスキル』

  #&$% 、#!$&、異次元空間魔法


 『魔法系統スキル』

  中級回復魔法、火属性魔法、水属性魔法、風属性魔法、土属性魔法、氷属性魔法、雷属性魔法、霧属性魔法、光属性魔法、闇属性魔法、転移魔法


 『スキル』

 言語能力、睡眠無効、痛覚無効、多重魔法発動、魔力超上昇、魔法無限調整、魔力高速回復、魔力超強化、魔法高速演算、影封印


 『技』

 MPドレイン

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