第8話 氷属性魔法①

 最近はMP枯渇状態になれる事が出来なくなった。


 常にお母さんやメイドのリーナさんが部屋にいるし、午後からお姉さんが遊びに来るからだ。


 朝起きた俺は今日も窓の外を眺める。


 外の広い庭には剣術指南の先生とお兄さん達、お姉さんの稽古が視界に入る。


 今住んでいる街はエドイルラという街で、季節は日本と同じく四季があった。


 今は夏で、外はとても暑く、歩くだけで汗をかく程に暑い。



 稽古を頑張っているお兄さん達は、将来王国騎士になれるよう懸命に稽古を重ねている。


 そんな姿を見て、どうにかお兄さん達の稽古を手伝う事は出来ないのだろうかというのが最近の悩みだ。


 前世で暑かった日の事を思い出してみると、扇風機を使っていた事を思い出した。


 冷たい風を魔法で送り出す事が出来れば、扇風機の代わりに使えるかも知れない。


 さっそくお母さんに聞いてみる事にした。


「リーナさん、おかあさんに会いたいの」


「クロウ様、奥様はリビングにいらっしゃるはずです。リビングまで参りましょう」


 メイドのリーナさんと一緒にリビングに来ると、お母さんがくつろいでいた。


「あかあさん~」


「あら、クロウくん、おはよう」


「おかあさん、おはよーございます、一つ聞きたい事があります!」


 スキル『言語能力』によって言葉は流暢に話せるようになった。ただ、まだ口の動かし方が拙い。


「聞きたい事? いいわよ? どうしたの」


「えっと…………冷たい風を出す魔法ってありますか?」


「ん? 冷たい風…………を出す? …………??」


 どうやら扇風機のイメージを上手く伝えられないみたい。


「冷たい風かはおいといて、冷たい魔法というのなら『氷属性魔法』とかかしら」


 氷属性魔法??



 『氷属性魔法』

 上級属性魔法の一種。

 下級属性魔法の水属性魔法と風属性魔法の合成属性魔法。

 広範囲が得意な攻撃系統魔法。



 《天の声》さんありがとう! しかし、氷属性魔法か…………。


「おかあさん、『氷属性魔法』ってどうしたら使えますか?」


「そうね。『氷属性魔法』はね。凄く特別な魔法だから簡単には使えないわよ?」


 そうか…………《天の声》さんからも上級属性魔法って言ってたし、今唯一使える『ヒール』は下級魔法だしな。


「『氷属性魔法』はね、必ず『水属性魔法』と『風属性魔法』が使える人だけが覚えられると言われているの。だから『氷属性魔法』を覚えたいのなら、まず『水属性魔法』と『風属性魔法』を覚えなくちゃね」


 水属性魔法と風属性魔法を先に覚える…………か。


「それで、クロウくん? どうして『氷属性魔法』を覚えたいの?」


「えっと……その…………お姉さん達が外で暑そうだから、涼しくしてあげたくて…………」




 ◇




 ◆フローラ・エクシア◆


 三男のクロウくんが最近では普通に接してくれるようになったわ。


 今日は珍しく「冷たい風を出す魔法を知りたい」と言ってきた。


 冷たい風がどんな意味かはわからなかったけど、冷たいと言うのなら『氷属性魔法』かなと説明してあげる。


 そして、何故覚えたいのか聞いたら、


 「えっと……その…………お姉さん達が外で暑そうだから、涼しくしてあげたくて…………」


 って恥ずかしそうに話した。


 あぁぁぁ! 私の息子! なんて可愛いの! お姉さん達が暑い外で稽古を頑張っているのを見ていたのね!


 愛おしくて、すぐ息子をぎゅっとしてしまった。


「お……おかあしゃん! く、くるしゅい…………」


 し、しまった! あまりの可愛さに強く抱きしめてしまったわね。


 少し顔が赤くなっている息子を、さらに愛おしく思ってしまった。


「おかあさん、ぼくおねがいがあります!」


 まだまだ照れながらお願いをして来る息子、もう目に入れても痛くないくらいに愛おしいわ。


「何でも言って頂戴! お母さんに出来る事なら何でもしてあげるわ!」


 これはなかなか腕がなるわね!


「水属性魔法と風属性魔法を見てみたいです!」


「魔法が見たいのね? 良いけれど、見るだけでいいの?」


「はい! 見るだけでいいです!」


 やけに目をキラキラさせながらそう答える息子。


「それにしても、クロウくんは魔法使いになりたいの?」


「はい! まほうたのしいのです!」


「そうか! 楽しいのは……良いこ…………と……?? ん? 楽しい?」


 2歳ですし、まだ言葉が拙いだけなのかも知れないわ。


 とにかく、すぐに水属性と風属性の魔法使いを手配しなくては。


「サディス! 水属性魔法使いと風属性魔法使いを手配して頂戴! 出来る限り早くよ」


 後ろに控えていた執事のサディスに手配を頼む。


「はっ、かしこまりました、お嬢様」


 この執事サディスは、幼い頃から執事をしてくれていて、結婚してからエクシア家に来た時も付いてきてくれた人の一人だ。


 サディスはすぐに魔法使い達を手配に行ったのだった。





 名前 クロウティア・エクシア

 年齢 2歳

 性別 男

 種族 人族(幼)

 職能 未開花

 レベル 1

 HP 3/3

 MP 650/650

 力 10×0.1=1

 速 10×0.1=1

 器用さ 10×0.1=1

 耐 10×0.1=1

 魔力 10×0.1=1

 精神 10×0.1=1


 『レジェンドスキル』

  #&$% 、#!$&


 『魔法系統スキル』

  下級回復魔法


 『スキル』

 痛覚軽減レベル10、感情無効、言語能力、魔法強化レベル1、睡眠耐性レベル9

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