転生したので異世界で生き抜く〜魔法の才能で最強に〜
エミュエール。
序章
第1話 転生
―プロローグ―
「あ、笑った!可愛いねぇ」
「うん、可愛い。この子が俺たちの子供…」
女が抱えてるのは先程産まれたばかりの赤ちゃんだ。
男の方は今にも泣きそうな顔でその赤ちゃんを眺めている。
「それで、決まったの?」
そう聞かれ、男は少しばかり頭を巡らせる。
決まったとはあのことだろうと思い、男は決心して話し始める。
「あぁ、名前はノア」
「ノア…、いい名前」
女はふふっと笑った後に男と顔を見合せた。
―――
「ファイア!」
真っ直ぐと伸ばした手の先から、火の玉が出てきて、目標目掛けて飛んでいく。
目標物であった鳥はその玉を避けきれずにぼおっと燃えて落ちてくる。
「おおお!やるじゃないか!ノア!」
そう褒めるのはノアの父であるグライドだ。グライドは剣の道を生きてきた剣士である
ノアには剣の道を歩ませたいが魔法に熱中しているので本心ではちょっと不満があるが、子供が成功したら褒める。
それがグライドの教育方針であった。
「はい!」
ノアはそう元気に返事をすると調子に乗ったように、ファイアをもう1発、鳥に目掛け放つ。
だが、一瞬集中力が切れたのかファイアは軌道をそれて木に当たった。
「の、ノア!スプラッシュだ!!」
「わ、わかりました!」
慌てる心を落ち着かせてスプラッシュを放つ。
今度は寸分狂わず目標の木に当たってファイアで燃焼した木を消化した。
「よくやった。だがちゃんと集中力を持続させないとダメだぞ?魔法使いは常にクールじゃないとな」
ノアは少しばかりしょんぼりとなってしまったが、それが少し顔に出ていたのか、グライドに気づかれた。
「んんっ!だがスプラッシュはちゃんと当てれて偉いぞ?」
その言葉を聞いたノアは嬉しそうに笑った。
これがグライドの教育方針だ。
「さ、今日はここまでだ!明日は剣の訓練だからなー」
そう言うと父ー、グライドは家に帰っていった。
俺はいつものように家のすぐ近くにある川に行き、汗をかいた体を洗う。
しかし、この生活…いや、この世界に来てからもう既に5年か。
俺ー…、上辺輝は前世の記憶を持って産まれてきた、言わば転生者だ。
日本という国で交通事故で死に、気づいたらこの世界にノアとして生を受けていた。
何故、俺は前世の記憶を持っているのか分からないが、俺はこれを人生をやり直す機会だと思った。
日本での暮らしは、普通で何かに才能がある訳でもなく、ただつまらない人生を送っていた。
だから、俺はとりあえず何かに取り組むことにし、行き着いたのが魔法だった。
元々、魔法というものに興味もあったし、母親が魔法使いということもあり、俺は魔法を覚えることに専念できた。
お陰で、齢5歳にして低級魔法を覚えるまでに至った。
これは凄いのか分からないが、母さんがものすごく興奮してたから何となく凄いのだと感じとった。
川に入りながら、指先を立てて魔力を集中させる。
念じるのは未だ成功しえない、中級水魔法「アクアウェイブ」。
水を大量に生み出して攻撃する魔法だ。
指先に魔力の高まりを感じる。
いける!
「アクアウェイブ!」
目の前に突き出した指先からドバァッ!っと勢いよく飛び出した水は10メートル程飛んで川に落下する。
「よし!」
ぶっ恰好ながらも、中級は何とか発動することが出来た。
いい感じで成長してるようだ。
しかし、成長が目に見えて分かるのはなんだか嬉しいな。
母さんも修行してる時はこんな感覚だったのかな?
ま、今日はここら辺にしておこうか。
俺は体を風魔法で乾かし、家に戻るのだった。
―――
転生してから、およそ8年がたった。
中級水魔法が使えるようになってから3年たっただろうか。
今の俺は中級を完全に制御し、完璧に扱いこなしていた。
しかし、魔法というのは無限の可能性を感じさせてくれる。
練習すればするほど威力は上がるし、制御も出来るようになってくる。
そして、今日は上級魔法に挑戦しようと思う。
場所はいつもの川だ。
上級魔法は魔力の制御が難しく、上級魔法で挫折する人が多いと母さんから聞いた。
…よし、やるか。
試す魔法は上級水魔法「アクアバースト」。
まずは魔力を指先に貯める。
ここまでは中級と同じだが、上級は貯める量と集中力が桁違いで変わってくる。
だが、中級を完璧に制御出来るなら上級魔法も出来るはずだ!
「アクアバースト!」
水の塊が急旋回して飛んでいき、川を超えて向こう側の森に突っ込んだ。
木を何本も抉り取り、尚、勢いは衰えず爆発した。
「くっ…、制御はまだ……!?」
その爆発の瞬間、ノアは殺気のようなものを感じた。
「…魔物に当たったか…?だけど、この近くには魔物はいないはずだ」
俺の魔術がいくら未熟だと言っても、使った魔法は上級魔法だ。
たとえ魔物が居たとしてもあれをモロに喰らったら、一溜りもないだろう。
アクアバーストが通った軌道上の木はもちろんのこと抉れて倒れているし、大きい岩も抉れている。
殺気は気の所為だといいんだが…。
「考えてもわからないな、行ってみるしかない」
俺は森の中へ駆け出した。
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