第303話「顔合わせ」
「あの……………」
「……………」
「…だから…………」
「……………」
「……あの、皆さん、聞いてます?」
翔が去ってから、笹島と睦月。そして四人のアイドル候補生が残された室内は微妙な空気に満ちていた。
それでも何とか会話のきっかけを作ろうと、笹島は何度も頑張ってみる。
すると、端の方で首筋の汗を拭っていたのえるが鼻息荒く立ち上がった。
「うっさい。あんたさぁ、来週来るんじゃなかったの?何で今週また会わなくちゃなんないの。信じらんない」
「ぐっ……それは」
「笹島くん、まだ全員と顔合わせしてないっていうから僕が連れて来たんだよ」
のえるの迫力に思わず怯む笹島に睦月がやんわりと口を挟んできた。
睦月には一目置いているのか、のえるはさっと目を逸らした。
「えー、いいじゃん。新マネさん。カッコいいし、あたしは賛成だよ」
「うわぁっ」
すると花梨が笹島の腕に自分の腕を絡ませてきた。
ふんわりと漂う甘い香りや腕に押し付けられた胸の柔らかな感触がリアルに感じられて思わず笹島は声をあげた。
「えへへー。マネージャーさん、花梨と仲良くしてね。ぎゃるぴ♡」
「ぎ……ギャルピー」
「ばっかみたい」
のえるはプイっと顔を背けると、部屋を出ていってしまった。
「完全に嫌われたなぁ」
「あれは照れ隠しのようなものだろう。気にすることはない。その内嫌でも慣れる」
鳴は静かに言うと、自主練に戻って行った。
紗里の方だが、紗里は睦月と何か話している。
表情からして二人は知り合いなのかもしれない。
「新マネさんは、いつからウチに来るの?」
「あぁ、来週からっす」
すると花梨は嬉しそうに笑った。
「そっかぁ。じゃあ来週から楽しみだね」
「え、マジで?」
笹島は驚きの表情で花梨を見た。
スッピンでもシミひとつない綺麗な頬をピンク色に染めて、掴んだままだった笹島の腕に力を込める。
「へへへっ。ぎゃるぴ♡」
「ははは…」
何となくこの子だけは友好的な関係を築けそうだと思った。
しかしこの花梨との出会いが笹島の今後の人生に大きな影響を与える事になるのだが、この時の笹島には知る由もなかった。
多分次辺りがタイトル回収になるかと…
でも物語はまだ終わりませんが。
しかし花梨、書いてて疲れる。
そして、のえるの面倒くささ。
しかし苦手なタイプの子もどんどん書いていこうと思ったので仕方ない。
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