第9話 智也専属メイド隊
メイド協会。それは、日本全国のメイドが所属する組織である。
白銀撫子を会長として、契約を結んだ顧客の元にメイドを派遣して相手が求める仕事をこなすことで利益を得る。家事や育児を行うことで雇い主の皆様の忙しい毎日をサポートするのがモットーだ。
──というのは表の顔で、本来の目的は智也を守り、愛し、崇拝する宗教のような組織だ。
また、大企業の女社長や重役、政治家、学校の理事長、警察などとも"智也ファンクラブ"という同盟関係を結んでいる。彼女らも同様に智也に心酔しており、ファンクラブは逆らってはいけない組織となっていた。
そんなメイド協会から新たに6人が智也専属のメイドとして派遣されることになった。先日の面接で見事合格を勝ち取った者達である。
「それじゃあ、改めて自己紹介します。僕の名前は冴島智也。よく小学生に間違われるんですけど、こう見えても高校1年生です。この家のことで何か分からないことがあったら遠慮せず聞いてください。これからよろしくお願いします」
智也の自己紹介が終わると、メイド達から拍手が送られた。
「白銀撫子だ。坊っちゃまの元で働く以上、メイド長である私の指示に従ってもらう」
メイド長とは、複数人から構成されるメイド隊のリーダーのことである。この場合、撫子は智也専属メイド隊のメイド長ということになる。
「では、次は私ですね」
左端に立っていた沙月がそう言いながら1歩前に出た。
「霧島沙月と申します。今回、ご主人様のメイドとして選んでいただいたこと、誠に光栄でございます。未熟者ではありますが、誠心誠意お仕えしますので何卒よろしくお願いします。ちなみにスリーサイズは上から112、60、94です。胸のサイズはNカップですので、是非参考になさってください」
「あ、あはは……」
ニッコリと微笑みながら自分のスリーサイズを暴露する沙月。
それに対し顔を真っ赤にしている智也は、「参考って何の!?」と心の中で突っ込んでいた。
「坊っちゃま。私は上から115、62、98のOカップです。あの女より胸もお尻も大きいですよ」
「そうですね。ウエストも私より太いですものね」
「あ?」
いきなり火花を散らし始める撫子と沙月。
その迫力に、智也は小動物のように体を縮こまらせていた。
「ご主人様、喧嘩しているおバカさん達は放っておきましょう。私は城ヶ崎千鶴と言います。スリーサイズは上から99、58、103のJカップですわ。夜伽の相手は是非ともこの千鶴にお任せください♡」
「は、はあ……」
金髪ドリルが特徴的な千鶴は、メイドというよりお嬢様のような風貌だった。
そして胸もだがお尻がかなり大きく、撫子すらも凌ぐ程である。
「私は鈴城由乃。スリーサイズは今度測ってみる。というわけで、ご主人様には協力を要請する」
「えーっと……出来れば自分で測ってもらえると助かるかな……」
「そう……それは残念。なら結果だけ報告するから楽しみにしてて」
「あ、はい……」
由乃はおかっぱのやや地味めな少女だが、彼女もかなり胸が大きい。表情の変化も乏しいが、智也に向ける視線には熱が篭っている。
「次は私だね。名前は黒崎花蓮、趣味はジョギングなんだが……ご主人様、今度一緒にどうだい?」
「はい、僕で良ければ是非!」
「ふふっ、楽しみにしているね。あと、スリーサイズは上から108、60、95のLカップだよ。下着が欲しければいつでも言ってくれ」
「えぇ……」
ようやく普通の自己紹介をしてくれたかと思えば、最後に大きな爆弾を落としていった花蓮。
黒いロングヘアの和風美人という言葉が相応しく、撫子や沙月には及ばないものの胸の大きさはかなりのものだ。
「次は私ですね。宮本梓と申します。親愛なるご主人様に全身全霊をもって御奉仕しますので、よろしくお願い致します」
「こちらこそよろしくお願いします」
ポニーテールと眼鏡が似合う梓の自己紹介は、今日イチでまともなものだった。
てっきりスリーサイズの暴露が来ると思って身構えていた智也だが、それがなかったのも当然といえば当然である。
何故なら彼女の胸はまったく起伏がなく、まな板という例えがピッタリの貧乳だったからだ。他のメイドが全員巨乳どころか爆乳なので、胸のなさが一層際立っている。
意図した訳では無いとはいえ、残酷な仕打ちをしてしまったと心の中で梓に詫びる智也であった。
「最後はボクだね! 春咲彩音です! えーっと……とにかく頑張るのでよろしくお願いします! あとおっぱいのサイズは105センチのKカップです!」
「あはは……やっぱり言うんだね、それ」
面接でとんでもないミスを犯した彩音も見事合格を勝ち取り、晴れて智也のメイドとなることが出来たようだ。
バストサイズ暴露大会となった自己紹介に少し気まずい思いをする智也だったが、何はともあれ顔合わせは無事に終了した。
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