5話 ラードンを倒す方法
「ルビア様やノア様のクラスにクーエック王国とシュクリード王国の王子がいますよね?」
その言葉に俺を含め全員が驚いた。
(なんで知っているんだ?)
「なんでそれを?」
「はい。本日、お二人にお話があって教室に向かわせてもらったところ、見てしまいまして......」
「あ~ね」
流石に隣国の王子の顔ぐらい知っていてもおかしくない。だから気付いたのか。
「それで一つお願いをさせてください」
「内容によるけど、いいよ!」
ルビアが答えた。するとミーシェは一気に殺気たった顔つき変わるのがわかった。
「兄さんと私でラードンを殺させてください」
「それはできないわ」
「なんでですか!」
ミーシェは大声をあげた。それに続くようにラッドも「なんで?」と問いかけてきた。
(当たり前だろ)
なんせラッドはもうローリライ王国の国民として扱っている。それに加え、ミーシェも国に迎え入れる約束をしている。口約束とは言え、王女が約束したんだ。今更嘘でしたなんて言えない。
そんな状況でラードンを殺害してみたらどうなる? 標的になるのはローリライ王国だ。俺たちの感情で国民の命を危険にさらすわけにはいかない。それはラッドやミーシェも王族だったんだからわかっていると思う。
(でも国の敵がいたらそのような考えになってしまうのもわからなくもない)
俺だってもしルビアやミア、家族が殺されたら後先考えずに殺してしまうかもしれない。
「二人はもうローリライ王国の国民です。もし国民が他国の王族や貴族に手を出したらどうなるかはお二人もわかるでしょ?」
「でも......」
ラッドやミーシェは納得していない顔をしていた。
(流石に納得しないよな)
「もし二人の命の危険を去らしてもいいと言うなら一つだけラードンを陥れる方法があるっちゃある」
俺がそう言うとルビアやラッド、ミーシェは驚いていた。
「ノア、それは国民に危険はないよね?」
「それはわからない。でもこれがうまく行けば、他国などから見たら悪いのはクーエック王国だと思う」
「それは本当ですか!」
「あぁ。でもいいのか? 二人とも、死ぬ可能性だってあるんだぞ?」
もし俺の案が成功したとして、その過程で必ずラッドかミーシェ、もしくは二人とも危険な目に合うだろう。でも二人とも顔色一つ変えず頷いた。
「今から俺が考えた方法を話す。これを聞いてからルビアは決めてほしい。決定権はルビアにあるから」
「うん、わかった」
全員の聞く準備ができたのを確認して、俺の考えを話し始めた。
まず、前提条件として国民に危険な目をさらさないこと。その場合、こちらからきっかけをつくのは良くない。もし俺たちから問題を起こしたらローリライ王国が悪いことになってしまうから。それでもラードンを潰したい。そう考えたら、最初に思い浮かぶのは、証拠がない方法でラードンを潰すこと。でも王子である以上そんなことはできない。
(だったら、ラードンから俺たちに手を出してくれたら?)
そう。あちらから手を出してくれたら、こちらが手を出しても正当防衛になる。そこで最初の話に戻る。
(どうやってラードンを潰すか)
今日ラードンが話しかけてきたってことは、少なからず俺たちに疑いをかけているってこと。だからそこに鎌をかける。でもそれには一つ条件がいる。二人ともローリライ王国の国民である必要がある。もし国民でなかったら手を出されてもこちらから手を出す理由にならない。現状、ラッドは国民であるがミーシェは違う。だからこそ、まずミーシェを国民にしなくてはいけない。
だからこそ、ミーシェが国民になってもらってから、俺かルビアからラードンにラッドとミーシェが知り合いにいるって伝える。これが第一段階だ。そして第二段階はラードンが手を出す状況を作る。
軽くここまでの話をしたところで、ルビアが言う。
「まあこの案を実行しなくてもミーシェちゃんは国民にするのは決定だから、私からお父様に伝えておくわ」
「あぁ。助かる」
「ノア様。ラードンに手を出させる方法はどうやるのですか?」
ここで第二段階の話を始めた。
(これがうまく行けばいいけどな)
これがうまく行けば、ルビアの学園での立場はグッと上がる。それだけでもやる価値はある。なんせルビアにはこの学校生活を楽しんでもらいたいから。
そこから第二段階の話をしたところでラッドが言った。
「わかりました......。でも本当にうまく行くのでしょうか?」
「それはやって見なくちゃ分からないよ。でもまずルビアがこの案を実行していいか決めてもらう」
「ルビア様......」
全員がルビアの方を向く。するとため息をつきながら
「は~。まあ、あっちから手を出してもらえたら私はいいわよ」
ルビアがそう言ったのに対し、ラッドやミーシェは涙を流しながら言う。
「「ありがとうございます」」
(じゃあ最初の段階に入るか)
そう思い、みんなで案を練り始めた。
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