2章 学園編

1話 スクリーティアへの道のり


 魔法都市スクリーティア。


 最も魔法に特化した国であり、魔法と剣術を組み合わせることにも力を入れている。身分、種族関係なく才能がものを言わせる国。世界初、魔道具を開発をした国として有名であり、ローリライ王国と魔法都市スクリーティアで密接な関係がある。全世界から才能のある人物、身分が高い人物などがやってきて魔法の勉強をすることが主流となっている。


 スクリーティアに向かう直前、国王様がルビアに


「ルビア。魔法のこと、そして人間関係などを学んでくること」


「はい!」


 そして国王様が今まで見せたことないほど真剣な顔で俺の方を向いてきて


「ルビアを頼んだぞ」


「かしこまりました」


 言われなくてもそうするつもりだ。俺の命に代えてもルビアは守る。でも今回は今までと違って俺以外にもラッドくんもいるから安心できるしな。

 

 王都から3人で馬車に乗って魔法都市スクリーティアに向かい始める。スクリーティアまでは2週間ほど道のりがあるため、まず最初にお互い挨拶から始まった。


「知っていると思いますが、ローリライ王国第二王女のルビア・ローリライです。よろしくねラッドくん」


「ラッド・ポーリラと申します。ルビア様。こちらこそよろしくお願いいたします」


 ラッドくんは緊張しているのが分かるほど声が震えていた。


「そこまで緊張しなくていいよ? これから一緒に学園生活を送る仲間なんだから!」


「はい...。よろしくお願いします」


 俺はルビアと幼馴染だったからそんなふうにはならなかったけど、普通誰でも王族と話すときは緊張するよな。でもミア様と話した時はあまり緊張しなかったな...。


「それでラッドくんはノアの護衛ってことでいいんだよね?」


「はい」


「それで私の護衛がノアってことだよね?」


「あぁ」


「じゃあラッドくんも私の護衛ってことでいいの?」


「...」


「まあそうなるな」


 ルビアの護衛を俺がしているってことは俺の護衛であるラッドくんも自動的にルビアの護衛という形になる。


(あ、そうだ!)


「ラッドくん」


「なんですか?」


 俺と話すときは緊張しないんだな。


「優先順位を決めておこう」


「え?」


「今から俺が言うことを最優先にしてほしい」


 ラッドくんは首を傾げながらこちらを向いてくる。俺の護衛だからといって俺だけを守っていればいいということではない。ぶっちゃけ俺を守ることは俺ができるから最優先じゃない。多分それは国王様や父さんもわかっていること。でもルビアに護衛は1人しかつけられないから俺の護衛としてラッドくんを加えたんだと思う。だったら最優先事項は俺を守ることじゃない。


「最優先事項はルビアを守ること」


「え? でも俺はノア様を守るためにこちらに来ましたよ?」


 ルビアの顔をチラチラと見ながら言ってくる。


「そうだな。でも俺の実力はわかっているよな? だから俺は自分で守ることができる。でもルビアは違うだろ? それに俺の護衛対象はルビア。だったら俺の任務はラッドくんの任務でもあるってこと」


「...。ではノア様とルビア様がどちらも危ない状況になったらルビア様を守ればいいということですか?」


「そう言うことだな。ルビアと俺がピンチになった時、どっちが先に死んでしまうと思う? 考えなくてもわかると思う。だったらどちらも生き残れる可能性をとった方がいいに決まっている。それに俺だったら一人で逃げられるかもしれないしな」


「わかりました」


 するとルビアが俺に言ってくる。


「どちらも危ない目になったら私よりノアを助けてほしいな」


「それはダメだ。そこだけは譲れない。それにルビア。自分の立ち位置をわかってくれ」


 俺とルビアの命のどちらが大切か。そんなの考えるまでもない。ルビアは俺を友達だとおもっているからそう言ってくれているのだと思う。それに関しては嬉しいことだけど俺が死んでも護衛役はたくさんいるが、ルビアが死んだら元も子もない。だからここだけは譲れない。


「うん...。わかったわ。でもノアもちゃんとしてよね? ノアが居なくなるのは嫌だよ?」


「わかってる。それはラッドくんも同様だからな?」


「え? あ、はい」


 そう。ここにいる誰もかけちゃいけないんだ。誰だって友達、大切だと思っている人が死ぬのは見たくない。だったら自分が死んだ方がましだと考えると思う。


「でも万が一のことだし、お互いが気を緩まずに行動していればそうそう危ない目には合わないと思うから大丈夫だと思う」


「だね!」


 その後もラッドくんに優先事項を説明する。まず最優先事項はルビアを守ること。次に俺を守ること。そして最後に自分を大切にすること。これさえ守ってくれれば後は何だっていい。


 そこから数日たったところで襲撃を受ける。


「おい、中にいる奴ら出て来いよ」


「...」


 ラウンドを使っていたけど、こうなるとは予想していなかった。カーテンを開けて外を見てみるとガラの悪そうな人たちが数十人立っていた。するとラッドくんが


「私が外にでて対処します」


「俺もいく」


「では馬車の前で待っていてください。敵がそちらに行ったら対処していただいてもよろしいですか?」


「わかった」


 お互い一緒に出る。するとリーダーらしき人物が話しかけてきた。


「中にいるのはお前たちだけか?」


「はい。そうですよ?」


 ルビアがいると言うわけには行かない。


「まあ聞いても意味ないな。結局中は見れるんだしな」


 そう言って下っ端数人が俺たちに近づいてきた時、下っ端の一人をラッドくんが殺す。すると全員顔色を変えて俺たちに攻撃を仕掛けてきた。

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