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 ふと琉が眺めている画面が視界に入り、俺はもやもやと重苦しい気持ちになる。

 そこにはデータを集めるための日程表が書かれてあり、俺の気に入らない地名が眼に入ったからだ。

「お前、またノースエリアに?」


 ノースエリアにある中央都市大学付属高校は俺が苦手とするオメガの人間が多くいるところだ。

 何もオメガだからと言ってそいつら全てを否定するわけじゃない。元の能力が高くなくても、中には必死に勉強をして、それなりの地位に上り詰めた奴もいることも確かだ。


 だが……。


 琉が大学の医学部を目指していく上で、ヒトゲノムの調査をするために様々な人のサンプルが欲しいことはわかっている。

 大学に入れればそれらはすぐに手に入るのに、彼は単なるデータを見るだけでは満ち足りないようだ。


 琉は実験だけでなく、自ら赴き、多くの人種と触れ合うことにどこか重きを置いている。

 それが俺にはあまりいい気がしない。

 

 もちろん琉は、嫌がる俺を苦手なオメガたちのいる研究室へ行かせるようなことはしないし、研究結果としてやはりアルファがいかに優秀であるかを証明してくれることもあるから、あれこれと俺が口を出すことではないと頭ではわかっている。

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