貫井
YYYY年MM月DD日土曜日14時30分現在パジャ山は最強だっだ。
人には最も気持ちいいタイミングというものがある。
恋愛しているとき
結婚したとき
子供が生まれたとき
受験に合格したとき
いい映画を見たとき
松屋の牛丼(380円)を紅ショウガかけて食べたとき
どれも悪くないがパジャ山にとっては休日の布団寒中水泳こそが至高だった。
全ての苦しみを忘れて無我夢中にふわふわの布団の上を泳ぐ…
なんてファンタスティックでドラマティックなんだろうとパジャ山は布団の上で一人うっとりしていた。
お昼のカップラーメンも食べ終え
布団を泳ぐ前の準備体操も済ませた
さあ、布団の海に繰り出しちゃうぞぉー!
世はまさに大海賊時代ーーーー!!
デーデッデーーーー!!
ありったk
プルルルル プルルルル
電話だ。
パジャ山といえども会社からの電話には逆らえない。
もしもし。お疲れ様です。はい。はい。
その件でしたら、はい。はい。
了解です。でしたら週明けには、はい。
じゃあよろしくお願いします。はい。
失礼します。はい。
ピッ
ちくしょう上司め何も休みの日に電話かけて来なくたっていいのに
とパジャ山は愚痴った。
パジャ山にとって布団寒中水泳を邪魔されること以上に嫌なことがなかった。
上司に向かって
世界一楽しい布団寒中水泳に取り組もうって時に何をしてくれるんじゃ己は!
なんて言ってやりたかったが
そんなことを言える立場でもないし
そんなことができる度胸も持ち合わせていなかった。
とはいえ、脅威は去った。
いざ、布団寒中水泳の世界へレッツg
ピンポーン
お次は、玄関のチャイムが鳴った。
この時間のために、注文した荷物の時間はすべてずらしているので
配達はありえない。
だったら居留守一択、この世に布団寒中水泳より優先される用事は存在せぬわ!
どこの鹿の骨だか知らないがとっとと失せやがれ!とパジャ山は頭の中で考えていると、ドアの向こうから、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
パジャ山さーん。いるんでしょー。家賃についてなんですけど。
やっべえ大家さんだ!払ってねえ!
パジャ山は焦った。今月分の家賃を払い忘れていたのだ。
パジャ山は名残惜しい気持ちで布団から出ると、すぐさま、ドアを開けた。
外へ出てしまった。
ごめんよ布団たち。約束を守ることができなった。
休みの日に布団寒中水泳すらできない俺を許してくれ。
家賃を払いにコンビニに向かうパジャ山の目には涙がたまっていた。
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