第46話 それぞれの道
今までの雰囲気とガラッと変わるが、あと1年で俺と愛央は卒業。1月に入ってから俺と愛央、そしてあいちゃんの3人でそれぞれどうするか模索していた。家を出るのか、家業を継ぐのか・・・。
あお「真剣な顔してる」
たく「一度きりの人生だもん。そらそうだよ」
あお「私はずっとたっくんといたい!仕事にしても何にしても!」
たく「俺もそうしたいのは山々だ。ただ・・・愛央、バイトの経験ないでしょ」
あお「うん・・・」
俺はずっと悩んでいるのだ。あいちゃんと愛央を置いて俺一人で家を出るか、家業を継いで家に残るか。ぶっちゃけて言うと、俺はグループ会社を継いで、俺の代で倒産させたらということを考えていた。経営能力は全くない。だから継ぐことはしないと思っている。ただ・・・うちの父親は終身名誉会長を兼任しているため、必然的に俺らはグループ会社に入らないとならない。でもコネで入るのもどうかと思うしなぁ・・・。そう考えていると、愛央が後ろからぎゅーーーっと抱きついてきた。
たく「んだてんであじすんべさぁ・・・」
あお「たーっくん。ぎゅー♡」
たく「何してんの」
あお「ふたりで同じ会社に入ろっ!」
たく「・・・・・は?」
あお「愛央、パソコンの実力もないし、何からやればいいのか分からないけど・・・たっくんが教えてくれたら、愛央頑張れるかも!」
たく「はぁ・・・入社試験をわざわざ受けるためにひたすらパソコンいじらないといけねぇのか・・・」
あい「あいたん、たったーとくらしたい!」
あお「私も、たっくんを支えたい!」
俺はふたりが言ったことによって、父親とガチ男同士の話し合いをすることになった。
たく「社長に話がある」
昭仁「珍しいね、あじした」
たく「僕ら、3人で暮らす」
昭仁「え!でも仕事は!?」
たく「心配ご無用。コネで入ったとされないように入社試験受けて系列会社に入りますよ」
昭仁「マジで!?」
たく「そりゃだって、愛央パソコンできねーもん」
昭仁「でも、俺の跡継ぎはどうするんだ?お前に任せようとしたんだけど」
たく「発達の俺が経営とかできる?」
昭仁「愛央が秘書になればよくね?」
たく「やめてくれ。冗談は」
昭仁「うそだって。でもあいちゃんは?」
たく「小学校から俺らが面倒見る。新人でも年収1000行くべ?」
昭仁「うん。うちの会社はそう」
たく「だからあいちゃんはどうにか育てられるはず。俺と愛央一人ずつ交代勤務とかできる?」
昭仁「採用報告来たら俺がその会社の社長に取り合ってみる」
たく「おけ。ありがと」
なんとかその交渉を終えた俺らは、1年でやるべきことを考えた。あいちゃんのご飯をあげて、愛央が練習している中で、俺はパソコンとにらめっこをしていたのだった。
あい「たったー!きれいにたべたー!」
たく「おーよしよし、偉いねー」
あお「たっくん!応援させて!」
たく「いいよ」
あお「やったぁ!」
ふたりのわがままを聞いて俺はあいちゃんの食べたお皿を洗う。愛央はいつものようにやって、あいちゃんは俺の頭の上に乗っかった。
あい「たったー?」
あお「あれ?たっくん?」
たく「はぁ・・・」
あお「たっくん、息抜きに外行こっ」
たく「愛央・・・うん。行く」
あお「流石に疲れちゃったよね」
たく「うん」
あい「たったー、あいたんのおむつもうない」
たく「ありゃ。そしたら俺バイト終わった時買うよ」
あい「あーちょ!」
あお「たっくん、ご飯食べに行こっ」
あい「あいたん、パパのところにいきたい!」
たく「んーじゃあさ、愛央着替えて。俺あいちゃんを親父のところに持ってく」
俺は愛央に言いながらスマホで内線番号を打った。
秘書「はい。社長室秘書でございます」
たく「ご無沙汰致しております。匠です。社長いらっしゃいますか?」
秘書「社長は残念ですが今休憩中でして」
昭仁「匠なら変われ」
秘書「は、はい!」
昭仁「ごめんなおまたせ。どしたんさ」
たく「よお。あいちゃんがあーたんところいきてーんだって」
昭仁「おけ。連れてき」
たく「あい」
あお「たっくん!チュールスカート着ていい?」
たく「あ・た・ま・え」
あお「たっくん」
たく「今度は何」
あお「リボン、付けて?」
あい「うっ・・ひっく・・・」
たく「ぐずりだしちまった。ちと待ってろ」
そう言うと、俺は階段を駆け上がり社長室に入った。
たく「父ちゃん!またせ!」
あい「ぱぱー!」
昭仁「おーよしよしよし。じゃあ、行ってきな」
たく「おっけ、ありがと」
あい「ぱーぱ」
昭仁「なーに?」
あい「あい!こえ!」
昭仁「ありがとう。ボールペンかな?」
あい「うん!」
俺はその間に下に降りて、愛央と一緒に出かけた。
あお「ぎゅーっ♡」
たく「おまたせ。いこっか」
あお「うんっ!」
たく「引っ越ししたら愛央は一人部屋かな」
あお「えー、愛央たっくんと同じ部屋がいい〜」
たく「え?なんでよ」
あお「たっくんが近くにいたらぎゅーし放題じゃん」
たく「ほんとにあんた友達と遊んだりぎゅーってしたりしねぇよな。俺夜中まで寝ないことも多々あるし、愛央が寝てる時にバイト行くよ?」
あお「それでも愛央はたっくんと同じ部屋がいいの!」
たく「ほんこん?」
あお「だって、愛央はたっくんの妹だよ?」
たく「妹は兄を嫌うのが典型的例だろ!?」
あお「愛央は違うよっ。たっくんが好きだから!」
たく「ふーん。あ、着いた」
やっぱり
あお「たーっくん」
たく「顔近いよ」
あお「たーべーて」
たく「今はいい」
あお「食べてくれたら・・・チア踊ってあげる!」
たく「踊れるの?」
あお「うん!」
たく「じゃあ・・・」
愛央の口車に乗せられ、俺は飯を食べた。愛央は少しでも食べて欲しかったのかな。少しでもいいから食べておいた。
家に帰ると、着替えた愛央とあいちゃんが後ろから来た。俺は布団に入って寝ようとしたときだった。
あお「約束通り、チア踊ってあげる♡」
あい「たったーあしょんで!」
たく「はぁ・・・」
あお「どうしたの?」
たく「いや、くっそ眠いんだわ」
あい「きゅぴー・・・・あ!きゅぴらっば〜!」
眠そうな俺にあいちゃんはきゅぴらっぱーを出したが今度は何が出るんだろうか。
あい「きゅーぴ♡」
あお「どうしたの?」
たく「あいちゃん、ありがとっ。これ何かわかったわ」
あお「なぁに?あっ、たっくんすごい!」
たく「こうでしょ?あいちゃん」
あい「あい!」
たく「ありがとね。愛央、やるならやって?」
あお「うん!フレ!フレ!ファイト~、おー!」
たく「うんうん。ありがとう。じゃあ横になりますかね」
あいちゃんが渡したものは愛央と俺とあいちゃん3人で寝られる布団。これで今日から寝ようよってことなのだろう。布団に入って少し休むとき、愛央が話しかけてきた。
あお「たっくん」
たく「なに?」
あお「愛央、思ったの。愛央が今のようにたっくんとあいちゃんのチアリーダーになって、愛央が社会人になったときの応援団をしたらいいんじゃないのかな?って」
たく「それもありだけどさ、俺らの間で寝てるこの子どうする気?」
あお「愛央たちの手で育ててるんだし、あいちゃんはお姉ちゃんの愛央とお兄ちゃんのたっくんが好きだと思う。だから、連れていきたい!」
あい「たったー・・・」
たく「なに?どうしたの?」
あい「あいたんずっと居たい・・・」
たく「寝言は寝て言えって言いたいけどねてるわな」
あお「あいちゃん、よっぽど好きなんだね♪」
たく「だね」
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