第30話ㅤ融合

 攻撃方法を確立してからは進行スピードが劇的に加速する事となった。

 人型モンスター、獣型モンスター、不定形モンスターと、種族問わずに棍棒ぶん投げ奇襲

 戦法はとても効率がよかった。


 不定形モンスターの場合は動く物か血の臭いに反応しているらしく、こちらの投げた棍棒に気を引かれるので、そちらに群がっている間に撲殺できるとわかった時は目から鱗が落ちる思いだった。


 そんな理由で実戦経験と引き換えに、攻略スピードアップ&血液貯蓄が捗る結果に。



 そうして、危なげなく経験値と血液を集めていき、とうとう20階層に到達した。


 そんな自分の現在のステータスはこうだ。


 ──────────────────────────────


 吉持ㅤ匠


 Lv:58→82


 HP:100%

 MP:100%


 物攻:50→70

 物防:1

 魔攻:10→18

 魔防:1

 敏捷:50→70

 幸運:10


 残SP:0


 魔法適性:炎


 スキル:

 ステータスチェック

 血液貯蓄ㅤ残69.5L

 不死血鳥

 状態異常耐性Lv3

 拳闘Lv4

 鈍器Lv6

 簡易鑑定

 空間把握Lv4

 投擲Lv5

 ■■■■■■


 装備:

 魔鉄の金砕棒

 肉食ナイフ

 布のシャツ

 丈夫なズボン

 再生獣革のブーツ

 魔鉱のブレスレット

 悪夢の棍棒

 悪夢の棍棒

 丈夫なリュック

 鱗皮のナイフホルダー

 ババァの店の会員証ㅤ残高135

 魔石多数


 ──────────────────────────────


 いい感じに育ってきている。これから物理だけでは対応出来ない相手も出てくるかもしれないという思いから、少しずつだけど魔攻にも振るようにした。


 さぁ行こう......



 ◇◆原初ノ迷宮第二十層◆◇


 ボス部屋の扉を開けて中に侵入していく。


 十階層で挑んだ時と同様、薄暗い部屋の奥に佇む影が見える。ただ今回見える影は一つ、自分よりも大きく引き締まったシルエット。


 そしてポツポツと火が灯るように部屋が明るくなっていき、見えてきた敵の姿は鬼......自分の金砕棒よりも凶悪な形の棒を持った真っ赤な鬼だった。


 ──────────────────────────────

 紅鬼

 レベル:94

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 ――一目見て確信する


 ある程度戦いの中に身を置いていたからか、肌で感じる事が出来た。

 コイツは自分と相性が良すぎる、戦闘スタイルが噛み合いすぎる......と。


 良くて一撃決着、一撃で勝負が決まらなければ最悪ドロドロの泥試合。


 見た目からして、ゴリゴリの肉弾戦主体の戦い方、もし魔法を使うのならば火系統。



 最悪の事態を想定しながら頭を働かせていく。


 幸いにも、階層ボスはこちらから近寄って行かなければ動き出す事は無いので、この時間は有難く使わせてもらう。


「初撃......大事なのは初撃だよね。スタミナはきっと相手の方が高い。泥試合になれば不利なのは自分......」


 思考にたっぷりと時間を使ったような気もしたが、全然使っていないようにも思える不思議な時間を過ごした。

 いつの間にか閉じていた目を開き、戦法を確定させる。


 これでダメなら泥試合......だが、それを恐れていれば何も進展しない。


 自身の装備を確認しながら深く息を吸い込み、足に溜めた力を一気に解放する。




 こちらが相手に仕掛ける事は単純な事。


 ジワジワと蜘蛛の巣に絡めていくような狡猾な戦法なんて最初から出来ない。それならば、いつも通り少しでも相手の虚を突くしかない。


 走り出した勢いそのまま棍棒を投げ、棍棒の影に隠れながら二本目を投げて追撃。ちなみにコレは避けられても避けられなくてもどっちでもいい。当たるならラッキーくらいに思っている。


 本命は、相手からしたら何の脅威にも感じないであろう小さいナイフを刺したいだけだから。


「アハハハハハッ」


 ガシャンッ!!


 パァンッ!!


 パァンッ!!


「......ハハハ......はっ!?」


 信じ難い光景が目の前に広がっている。


 紅鬼が投げられた棍棒を叩き落とそうとしたのだろう。

 だが自分の投げた棍棒は、まるでガラスを割ったかのような音を立てて紅鬼の振るった金砕棒を粉砕し、投げた勢いそのまま一本目と二本目の棍棒は紅鬼を貫通していった。


「......あー、うん。お疲れ様、ごめんね血ィ貰うよ......」


 まだ辛うじて息のあった紅鬼から血を吸い出すと、ドロップと思われる魔石を残して消えていった。


『レベルが3上がりました』


 ......お疲れ様でした。この分なら暫く、レベルアップ時に得たSPは全て魔攻に振ってもいいかもしれない。



 不完全燃焼に似たモヤモヤした気持ちを抱えたまま、ご褒美のババァの店に行き魔石を換金。そこまで欲しいと思うアイテムは並んでいなかったので、予備の鞄だけを購入。


 その後はまた、ババァの厚意に甘えて店先で就寝。


 翌日目を覚ましてからは寝る前に獲得したSPを魔攻に振り分け、水の湧いている場所で体を洗ったり洗濯をしたり。

 洗濯物は魔法の練習を兼ねて燃やさないように気を付けながら乾かし、使った分のMPが回復したのを確認してから攻略を再開しようと次への階段へ向かう。


 そして、二十一階層に向かっている途中に突然、戦闘終了時でも無いのにアナウンスが響き渡った。


『原初ノ迷宮完成後、168時間経過シマしタノで世界融合ヲ再開致シまス......24時間程デ完成致しマスノデ、完成マデオ待チ下サイ』


 この時自分は知る由もない無かったが、このアナウンスは地球上に住む全てのに向けて発信されており、このアナウンスからきっかり24時間後......自分の知る平和でクソみたいな世界は終わりを迎え、血腥くも素晴らしい世界が幕を開ける事となった。



 ──────────────────────────────


 吉持ㅤ匠


 Lv:82→85


 HP:100%

 MP:100%


 物攻:70

 物防:1

 魔攻:18→24

 魔防:1

 敏捷:70

 幸運:10


 残SP:0


 魔法適性:炎


 スキル:

 ステータスチェック

 血液貯蓄ㅤ残70.8L

 不死血鳥

 状態異常耐性Lv3

 拳闘Lv4

 鈍器Lv6

 簡易鑑定

 空間把握Lv4

 投擲Lv5

 ■■■■■■


 装備:

 魔鉄の金砕棒

 肉食ナイフ

 布のシャツ

 丈夫なズボン

 再生獣革のブーツ

 魔鉱のブレスレット

 悪夢の棍棒

 悪夢の棍棒

 丈夫なリュック

 厚手の肩掛け鞄

 鱗皮のナイフホルダー

 ババァの店の会員証ㅤ残高530


 ──────────────────────────────

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