第17話ㅤ窮地
マスターグールという高レベルのモンスターを倒せたおかげで、思いがけずレベルがかなり上がった。
上がったステータスに体を慣らす為に体の具合を確認しながら、まだ踏み込んでいないエリアに駆け込んだ。
油断しているわけでは無い。ただ、高揚感が抑えきれずに慎重になるという選択肢が頭から抜け落ちていた。
「アハハハハハハッ!!」
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リザードマンファイター
レベル:36
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リザードマンランサー
レベル:37
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リザードマンプリースト
レベル:32
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メイズウルフ
レベル:36
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既に一度戦っているメイズウルフの群れと、一度戦った事のあるリザードマンのグループだが種類は初見。
このまま戦ったとしても問題ないと判断し、そのまま殴りかかった。
「邪魔ァァァ!!」
この中で、残しておいたら面倒そうなプリーストに向かって走る。
数が多くて邪魔なメイズウルフを殴り殺しながら、最短距離で駆け抜けていく。
五匹のウルフを撲殺し、ようやくプリーストの元へ......
という所で、体が淡く発光しているランサーとファイターがプリーストを庇うような体勢で立ち塞がる。
「光っているのはバフなのかな? 考えてもわからないや......それならこのまま突っ込んでやるッ!!」
走る勢いそのまま、立ち塞がるリザードマン二匹に向けて金砕棒を叩き込む。
「ギャギャッ」
重量があり、突起の付いている武器を受け止めるのは無理と判断したのか、ランサーは手に持った槍をこちらに向けて突き出し、ファイターは金砕棒を受け止めようと体勢を低くして構えている。
振りかぶって殴るよりも、突き出すだけの槍の方が当たるのが早かった。
腹に槍が突き刺さったのを見たメイズウルフが、好機と見て飛びかかってくる。
普通の相手ならこれでジ・エンドだったであろう。しかし、目の前の相手はそこで終わらないのだ。
「アハハハハハハッ!!」
槍が腹に刺さったまま、金砕棒を振り抜いた。
刺した事で勢いが弱まる......と思っていたファイターだったが、全く弱まる事の無かった金砕棒の一撃を撃ち込まれて腕と胸部を粉砕され、プリーストを巻き込んで吹き飛ぶ。
ランサーは刺さった槍を掴まれて身動きが取れず、振り抜かれた金砕棒に頭を砕かれた。
ここまではよかった。
厄介なヤツを守る肉盾が二体潰れたまではよかったが、勢いをつけて金砕棒を振り抜いた所為で体勢を崩してしまい......飛びかかってきたメイズウルフへの対応が不可能な状態になってしまう。
「アハハッ......やばいなぁこれ」
口を開いたメイズウルフの群れが、回避不能な位置にまで来ていた。
左の太腿に痛み、続けて右肘、首筋、脇腹と立て続けにメイズウルフの牙が食い込む。
首筋に噛み付かれた時に意識が飛びそうになったが、他にも噛み付かれていたのでなんとか意識を保つ。
傷口から血が流れ出して止まらない......まさか、噛み付かれたままだと傷が治らない?
そういえば、身体を貫いたままの槍の傷も治っていない......血も流れ、呼吸もままならない......
――なんとかしないと不味い。
空いていた左手で首筋に噛み付いたウルフの腹を殴り、衝撃で口が緩んだ隙に前足を掴んで一気に引き剥がす。
首筋の傷がたちまち治り呼吸も戻った。
どうやらこの再生能力も万能ではないらしい......一撃で完結する攻撃でないと傷は治らない。
これは、戦い方の見直しを考えないといけない。だが、反省するにもこのメイズウルフ達をどうにかしてからでないと。
「足や腕じゃなく頭にも噛み付いていれば勝てたかもしれない。危なかったよ。ただ敵に殴りかかればいいってだけじゃないと教えてくれたのは感謝してるけど、お前らは死ねッッ!!」
腹に刺さっていた槍を抜いて脇腹に噛み付いているウルフに突き刺し、右肘のウルフの目に指を突き入れたら噛み付いていた口が外れた。
残った太腿のウルフは殴り殺し、ようやく自由になれた体でまだ息のあるウルフの残りと、リザードマンプリーストにとどめを刺して回った。
『レベルが1あがりました』
ダンジョン攻略を始めてから、初めて生命の危機に直面した。戦闘が終了したことを告げるアナウンスと共に緊張の糸が切れ、その場にへたりこんだ。
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吉持ㅤ匠
Lv:39→40
HP:100%
MP:100%
物攻:36
物防:1
魔攻:5
魔防:1
敏捷:34
幸運:7
残SP:0→2
魔法適性:炎
スキル:
ステータスチェック
血液貯蓄ㅤ残51.7L
不死血鳥
状態異常耐性Lv2
拳闘Lv2
簡易鑑定
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装備:
魔鉄の金砕棒
肉食ナイフ
ボロボロな腰蓑
再生獣革のブーツ
魔鉱のブレスレット
獣皮の鞄
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ㅤ次回から二日か三日置きに更新となります。今後もよろしくお願いします。
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