第16話ㅤ差異

 あんな攻撃ができて魔攻5って嘘だろう......

 炎魔法が強すぎるのか、それとも何か別の要素があってああなったのか......


 とりあえず魔法を使う時には細心の注意を払わないとマズいという事はわかった。危うくグールと一緒に燃え尽きるまで燃える羽目になる所だった。


『レベルが9上がりました』

『レアモンスターが討伐されました』


「アハハハハッ!! 最期は炎に焼かれてくたばったんだなアイツ!! 自分のスキルに似た物を持つ面倒なモンスターは頭を潰してから焼き殺すのが正解だったのかな......こう考えると手に入れられた魔法が炎属性ってのは、凄く運が良かったのかな」


 リザードマンから奪ったローブのような物は焼け焦げて使い物にならなくなっていたので、脱ぎ捨てて廃棄。ブーツも焼けていたけど再生獣の皮だから、放置しておけば修復されそうとの事なので、履いたまま放っておこうと思う。


「アハハッ......荷物に火がついてるや。今消せば間に合うかな」


 脱ぎ捨てたローブの残骸を拾って火の付いた皮袋へと向かい、ボロボロのローブで火の付いた部分をはたいて消火に当たった。


 数分後、ようやく火を消す事ができてほっと一息。

 毛皮の毛は全て焼けていたが、皮の部分に穴が空いたりはしていなかった。


 皮を鞣していなかった事と、皮が乾いていなかった事が功を奏したらしい。


 ただ中身が蒸されていて、その際に生じた皮の臭いが染みていたのが悲しかった。しまっておいた中身を一度全て出し、鞄の中に篭もった熱を排出する為に口を全開にして放置しておいた。



 まだ熱の残る部屋に入ってグールと戦っていた場所まで歩いていく。


 現場にはグールの死体は残っておらず、人型の焦げ跡と一振りの鞘付きナイフが残っていた。


「これは......グールから出たドロップ品......?

 真っ黒な鞘と赤黒い柄、光沢の無い刃......呪われた装備みたいでかっこいい」


〈肉食ナイフ〉


 ただのナイフかと思ってソレを手に取ったが、簡易鑑定をした結果、ただのナイフではなく特殊な効果がありそうな名前のナイフだった。


「ただのナイフと思っていたけど、これは多分グールの能力の一部が付与されたナイフと思っていいのかな。遭遇した時もモンスターを食べていたし、このナイフの名前を見てなんとなくアイツの能力がわかったよ。

 腐ってもレアモンスター討伐の報酬か......あのヒヨコのドロップも、自分じゃ考えられない程の効果があるのかな」


 あのグールは肉を貯蓄して部位の再生に充てていたのだろう。だから死体の肉を切るか与えるかすれば、何かしら恩恵があるのではないか......


 そういった結論に達したので、次にモンスターを殺した後に使用してみようと決める。


「アハハッ......楽しみが増えたなァ。ボロボロのナイフじゃあ何にも出来なかったし助かった。次は丈夫な服か鞄が欲しいな......

 それにしても、このフロアのモンスターはグールに食いつくされていたんだろうか。何も居ないや......はぁ、次に進もう」


 溜め息を一つ吐いてから、荷物を回収しに向かう。ナイフは鞄に入れておくよりも取りやすい位置にと考え、軍人がやっているようにブーツに差し込んだ。

 それ用の仕掛けなどがない為、きちんと収めるのは難しいが、なるべく動きが阻害されないよう工夫して装着した。


「邪魔な感じはしないな。違和感はあるけど、これなら直ぐに慣れる......後はステータスを......っと、状態異常耐性が上がっている。とすると、爆発の時に火傷した事で上がったのかな?

 ......よし、レベルアップした分のポイントも振ったし、モンスターを殺しに行こう」


 細かい動きを確認しながら進んでいく。


 ダンジョンを進んでいくという事が今はとても楽しいので、自身が戦闘行為に酔いしれ、命懸けの戦闘を無意識下で求めていると云う事に未だ気付いていない。




 日常的に暴力を振るう事に慣れている輩や、格闘技など自分自身の肉体を商売道具にしている人種以外では、生きているモノに対して暴力を振るう事に強い忌避感を覚えるだろう。


 平和な世界に急に人外の生物が現れ、それ等と命を賭けて戦う事を強要されても大抵の人間は即座に適応する事は出来ない。


 ――しかしどんな物にも例外は存在する。


 そういった存在は得てして人間社会とは上手く馴染めない。常人への擬態能力......それかコミュニケーション能力が余程上手くなければ浮いてしまう物だ。


 人は異物を恐れ、徹底的に排除しようとする。



 表層に現れない忌避感。なんとなく不快、なんとなくコイツとは相容れない、そもそも生理的に無理......といった理不尽な理由で排除されてきた彼もまた、場合によっては人を殺す事に躊躇わない、現代社会に不適合な人種なのかもしれない。



 ──────────────────────────────


 吉持ㅤ匠


 Lv:30→39


 HP:100%

 MP:100%


 物攻:28→36

 物防:1

 魔攻:5

 魔防:1

 敏捷:26→34

 幸運:5→7


 残SP:18→0


 魔法適性:炎


 スキル:

 ステータスチェック

 血液貯蓄ㅤ残61.2L

 不死血鳥

 状態異常耐性Lv2

 拳闘Lv2

 簡易鑑定

 ■■■■■■


 装備:

 魔鉄の金砕棒

 肉食ナイフ

 ボロボロな腰蓑

 再生獣革のブーツ

 魔鉱のブレスレット


 獣皮の鞄


 ──────────────────────────────





 ──────────────────────────────


 今回から装備品もステータスに載せてみます。装備品にもステータス等がありますが、主人公に鑑定出来ず、表記がややこしくなるので記載はしません。


 今までのでいい、今までのも邪魔、いちいちステータスを書かなくてもいいなど、思う事がありましたら教えて下さい。


 今後とも拙作をよろしくお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る