第7話
「ぎゃー、やだこのヤロウ
助けてー」
うちの家政婦を男が押し倒している。
オバサンは手に掃除用具、クイックルなんちゃらだ。
箒とモップのあいの子みたいなアレで男を殴りつけるが男はビクともしない。
涎を垂らしながら大きく口を開ける。
と思うとオバサンの首筋にキスをした。
恐ろしく情熱的なキス。
キスというより噛みついてるみたいだ。
「ヒュ、ギャ、グァ、ヤダ、ァガガァ」
オバサンは首の気道が塞がれてちゃんと声が出せない状態。
首から血が溢れ出す。
ゴギギッ。
嫌な音がする。
ギチュッ。
湿ったような音。
オバサンの首の骨が折れ、肉が千切られたのだ。
グチュッグチュッグチュッ。
噛み千切られた肉片は男の口の中。
男はオバサンの首の肉をグチュグチュと咀嚼している。
「あああ、ああ、や、うそ、えっ、うそですわ」
円花が階段の途中でしゃがみ込む。
顔は真っ青。
しゃがみ込んだスカートからは下腹部が見えてる。
さっき俺が下着を脱がせたままなのだ。
そんな自分の状態を気にする余裕も無いのか。
彼女はへたり込んで足を広げる。
大事なところが誰にでも丸見え。
うーん。
丸見えってあまり興奮しない。
隠していて見えそうで見えない。
動くとチラチラ見える。
その位がいいんだよな。
と俺はアホな事を考える。
いや、まあ男ってそういうモノだろう。
彼女の声が聞こえたのか。
配達員の男が振り返る。
口元は血まみれ。
制服の上まで血が流れて赤く染まっている。
まだ肉片を咀嚼している。
「やだやだやだ、怖いです。コワイこわい怖い」
円花はパニック。
普段は丁寧な言葉使いの彼女だが、さすがに崩れてる。
なにかコイツ変だ。
男の体は血まみれ。
だけど、今オバサンから溢れた血が付いただけじゃない。
元から血まみれだったのだ。
男の制服は破れ、腹が見えている。
腹肉が引きちぎられたような跡。
内臓らしき赤黒い物がはみ出ている。
腹肉の辺りは血みどろ。
腹周辺の制服は真っ赤にに濡れている。
肩もおかしい。
男の右肩は不自然に凹み、右腕は異常な方向を向いている。
金属バットか何かで力まかせに殴られた。
そんな様子だ。
どう見ても重体。
まともに歩く事が出来るとは思えない。
顔は真っ赤。
オバサンの首から出た返り血を浴びてる。
目まで赤い。
瞳に白い部分が無い。
充血した赤と光を写さないような空洞の黒。
それが目の部分。
「なにこれ、なにこの方、なにこの状況。
ホラー映画みたいですわーっ」
そうだホラー映画のゾンビの様なのだ。
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