第2話

「クカカッカカカ。

 抗ッツテモ無駄ナ事。

 直ニ魔王様ガ降臨サレル。

 ソウナレバ人間達ハ終ワリダ」

「そうはさせません。

 必ずわたしが護って見せます」


俺は気配を殺して見物していた。

どちらも知らないヤツら。

肩入れする理由は無い。

どちらかの味方をしなきゃいけないなら、もちろん女の方だ。

その二拓で犬を選ぶ男がいたらそいつは頭がおかしい。

病院に連れて行くべきだろう。

俺は正常だ。

だから高見の見物としゃれこむ。

どちらかの味方をしなきゃいけない状況じゃない。

無視して帰ると言う第三の選択も有るのだが、少女はなかなか魅力的。

体にピッタリした服は体形が分かる。

細身の割には胸が有る。

透けたスカートがヒラヒラするのもエロい。


それに俺だって魔法少女くらいは分かる。

マンガくらいは読むのだ。

深夜アニメもリアルタイムで見るまではしないが、知人にDVDくらいは借りる。


魔法少女は苦戦していた。

多勢に無勢。

ザコ魔犬が10体近くいるのに少女は一人だけ。

彼女は剣で斬り裂く。

衣装替えする時いつの間にか剣を持っていた。

碧い光を発する剣。

魔犬を光輝く剣が貫く。


グガァァァァァアッ。


すると魔犬は姿を消していくのだ。

俺は校舎のタイルを見てみるが死骸も残っていない。

少女は強い。

一撃で魔犬を葬るのだ。

しかし一体の敵を斬る間に他の敵が彼女の後方から襲う。

左右から前後から襲う魔犬に少女は対処しきれない。

少女は徐々に傷を負っていく。

腕から腹から血を流す。

剣を持つ手にも力が籠っていない。


ボスらしき三本角魔狼が動き出す。


「クククカカ。

 貴様ノ魔力ヲ戴クゾ。

 魔王様ニ捧ゲ復活ノ助ケトナッテ貰オウ」


もっと早く戦えばいいのに。

女が弱るのを待っていたのか。

なかなか卑怯なボス魔獣。

気が合いそうだが、そうも言ってられない。


少女は傷ついている。

衣装がボロボロ。

スカートは切り割かれ、腹の部分の布も破れてる。

白くくびれたウエストが見えているのだ。

チラリと可愛らしいおヘソも覗く。

なかなか良い光景。

このままイヌッコロのお腹に収めさせるのは惜しい。

そう思ってしまった。


俺は立ち上がって声を出す。


「何だ、キミたちは!

 一体何をしているんだ?」


紛れ込んだ一般人が如何にも言いそうなセリフだ。

俺はこれでもTPOをわきまえているのだ。

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