耀秀伝

刃口呑龍(はぐちどんりゅう)

序幕

「おっはよ〜」


「あっ、おはよう。龍清リュウセイ君」


 後ろから、凄い勢いで走ってきた、男の子が、僕に挨拶をする。僕より頭一つ大きく、そして、運動神経抜群で、顔も良い。


 僕はと言うと、小柄で、運動はいまいちだし、顔も、穏やかで優しそうな顔ですね。って、言われるぐらい。特徴は、あまり無い。でも、先生だけは、いつも僕を、こう慰めてくれる。


「君は、いつか何かを成し遂げるでしょう。焦らずに、一歩一歩進んでください」


 先生は、私塾の先生だ。大趙帝国だいちょうていこくでは、かつて幼い頃から通える、学校があったそうだが、乱れた今の世では無い。ここ如親王国じょしんおうこくには、そのような学校も無かったから、私塾の文化が発達している。


 それで、ここは如親王国でもちゃんとある、軍官学校への入学を目指す為の学校だ。




 そうだ言い忘れていたけど、僕の名は、耀秀ヨウシュウ。偉大すぎる先祖を持つ、ただの子供だけどね。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る