第5話

 いつも通い慣れている駅へ向かう道とは逆方向に母校のあすなろ学園は在った。



 最近は用事もないので訪れることも少ない。



 夜になっても外は茹だるように蒸し暑い。

 ほんの少し歩いただけで汗が滲んだ。



 坂道を昇ると母校の『あすなろ学園』が見えた。もちろん夏休みなので校庭には生徒の姿はなかった。



「ぬうゥ……💦」

 いったいここに誰が来るのだろうか。



 せっかくこんなトコまでやってきて、なんの収穫もないのでは、パンドラに騙されたような気分だ。



「ふうゥ……」ひと息ついて校門に手を添えた。門扉は思ったよりも低い。ボクの鎖骨あたりだ。

 


 校門の前で、ひと通り校内を覗いていると不意に、歩道橋の上から声を掛けられた。




「祐真ァーー……!!」

 可愛らしい女性の声だ。

 妙に懐かしい感じの声が響いてきた。



「えェ……🙄💦」

 とっさに、声のした方へ視線を向けた。



 校門の前に掛かっている歩道橋の上だ。


 ひとりの美少女が歩道橋の階段を勢いよくトントンと、こっちへ向かって駆け下りてきた。


「祐真ァ〜……!! 元気ィ✨🤗✨💕」

 懐かしそうに微笑んで、ミニスカートを翻して駆けてくる。


 可愛らしい笑顔で手を振っていた。



 下から見上げるようなアングルなのでミニスカートの下のパンツが丸見えだ。



 間違いない。彼女は。




「うゥ!! ルナちゃん!!」

 思わず、ボクは美少女の名前を呼んだ。










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