第3話 『パンドラ』

 その時、また着信音が聞こえた。



「うゥ……😳💦」

 驚いて手に取り着信画面を見ると、また非通知だった。



「チィ……ッ!! 『パンドラ』か」

 舌打ちをして出るかどうか、しばらく躊躇ためらったが結局、通話ボタンをタップした。

 


「もしもし……」

 警戒するように相手の様子をうかがった。



『さァ、ゲームの始まりだ!!』

 まただ。カンに触るような電子音で音声を変換していた。



「な、『パンドラ』か? お前……、まさかマジで猪狩野さんを処刑したのか!!」

 


『だから言っただろう!!

 我々の命令にそむけば容赦なく処刑すると!! ケッケケェ……』

 自慢げに嘲笑あざわらった。



「ふざけるな!! セックスしないと殺すなんて、何が狙いだ!!

 新しい風俗かァ……!! お前の指名するデリバリー風俗嬢とでもセックスしろッて命令するのかァ……!!」



『ケッケケェ……!!

 どうした!! 童貞のお前でもくたばりたくはないのか!!』



「そんなの決まっているだろう!!

 童貞だろうと童貞じゃなかろうと!!

 好きこのんで殺されたいヤツなんていないだろう!!」

 


『たった今、我々パンドラの指令を無視した足○区の猪狩野は【ブラディジョーカー】の手により処刑した。ケッケケ……』

 上から目線であざ笑っている。



「ぬうゥ……!! 何が可笑しいンだよ!!

 お前ら、この暑さで頭がおかしくなったのか!!

 セックスしなかったらコロスなんて……。

 正気の沙汰じゃないぞ!!」



『ケッケケェ……、気にするな!!

 他人の命よりも自分のことだけを心配しろよ!!』


「ぬうゥ……」


『祐真が御託ごたくを並べているウチに、タイムリミットへ刻一刻と近づいているんだ!!』



「なにィ? まだボクは……、こんな狂った『パンドラゲーム』に参加するとは言ってないだろう!!」




『ケッケケェ……!! 気にするな。

 こちらに指名されたメンバーは強制的に参加するシステムだ。お前に拒否する権利などない!!』



「ぬゥ……、なにをォ……!!

 ふざけるな!! 勝手な事を!!」

 


『今から五時間半後までに、セックスしなければ、高原祐真……。

 お前は【ブラディジョーカー】に処刑されるだろう!!』




「五時間半だってェ……、六時間だったはずじゃ……」

 さっきから三十分も経っているのか。



 時計を確認した。



『さァ、ゲームの始まりだ!!』








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