第37話 戦、開戦

「おいおい、どうなってんだ?」


廊下に出ても誰一人いなかった。


「司令室に行くか、ベルはいるはずだからな」




司令室


「失礼します…ってベル?」


そこにはベルらしき人物が机に突っ伏していた。


「ん?ああ、ローズかすまないな」


「なんだ?お疲れなのか?」


「まぁな」


「なら休んだほうが…」


「…出来るならそうしたさ、だが君が寝込んでいた一ヶ月で戦況は大きく変わった」


「へぇ…一ヶ月…一ヶ月!?」


「ああ、現在リングが若干優勢だがムーンも引けをとっていない」


「は、はぁ…それでなんでActorがこんなに大変になったんだ?」


「戦場の処理と修復、避難民の救助と警護、その他諸々」


「自衛隊は?」


「現在Actorと連携して動いている」


「それでも間に合わないほどか」


「ああ、毎日十何件もの建物が崩壊してる」


「全く…何考えてんだか」


「はぁ…すまないなお茶を取ってくれ」


「ほらよ」


「ありがとう」


ローズはカップに茶を注いだ。


「九郎さんも別要件で出ている、帰っくるか分からないが」


「その要件は?」


「国のトップを探している」


「……は?え?逃亡したのか?」


「言い方が悪かったな、正しくは国の新たなトップを探しに行ったんだ」


「宛があるのか?」


「そのようだ」


「そうか…」


「今ローズと私しかこの基地にはいない」


「え?」


「皆には他の場所へ移ってもらった」


「どうしたんだ急に」


「いや、シズのことで不安になるのかと思って言っておいただけだ」


「そうか、ありがとう」


「さて、二人しかいないんだ…内緒話でもしようか」


「はぁ?どうしたんだ急に、仕事のし過ぎで壊れたか?」


「壊れてはいない、ただやってほしいことがある」


「それは?」


「君に、『月輪破壊命令』を出す」


「『月輪破壊命令』?」


「単刀直入に言うと、ムーンとリングの戦場に赴き戦場を荒らしてくれ」


「荒らしてどうするんだ」


「兵力を削げれば戦争は集結する」


「…賭けになるぞ」


「ああ、責任は私が全て負う、暴れてこい!ローズ!」


ローズは今まで見たことないベルの言葉にニィっと笑顔を見せながらこう行った。


「了解、ボス」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る