第36話 鮮血のクリスマス

西暦2200年 12月25日 クリスマス


リングとムーンによる大戦が突如として



開戦した





「…最悪だな」


九郎は司令室のテレビにて戦争の現状を見ていた。


映像には戦場へ出向くアーツたちの姿があった。


2つの組織がついに大戦を引き起こした、その被害はもはやこの国に留めておくのは難しい。


いずれこの内戦が世界大戦に発展するのでは、と各メディアが発している。


「さて、これは…どうしたものか」


「現在国家は機能していません」


ベルは国家が機能していないことを九郎に伝えた。


「だろうな」


「しかし、どうしたものでしょうか…」


「…仕方ねぇだろ、今や国家の野郎共は自分の命しか考えてないんだ」


「しかしこのまま戦争が続くと…」


「ああ、地球は人が住めなくなる」


「なら…どうすれば」


「…ダメ元だが手はある」


「その手は…」


「新たな国家を立ち上げる」


「しかし…」


「ああ、難しいとかいうレベルではないまず指導者を見つけないとな」


「そう…ですね」






食堂


「…まさか…こんな事になるなんて…」


暁が落ち込んだ様子で九郎と同じ番組を見ていた。


「いずれ…こうなるとは僕も思っていた…だけど」


タスクも落ち込んだ様子だ。


「早すぎる」


シズはテレビを凝視していた。


「………」


しかしローズは…


「ローズ?」


「…」


「どうしたんだい?」


「…」


なぜか黙ったままだった。


「どうしたの?ローズ」


「…が…終わる」


「え?」


「地球が…終わる」


「「「え?」」」


なぜかローズはそう言うと目が虚ろになった。


「地球が終わる?」


「地球 ちきゅう、羅: Terra、英: The Earth は、太陽系の惑星の1つ。太陽から3番目に近く、表面に水、空気中に酸素を大量に蓄え、人類を含む多種多様な生命体が生存することを特徴とする惑星である」


なぜかローズは地球の概要を話し始めた。


「ど、どうしたの!?」


「…シズ…」


唐突にローズはシズの名前を呼び始めた。


「何?」


「…起動」


「起動?」


「………エネ…足」


「ローズ!」


「…止」


何かを言ったあとにローズはガクッ…と気を失った。


「ローズ!?」






???


「……ここは…」


ローズは目が覚めると訳の分からない空間に居た。


『覚醒を確認』


「誰だ!」


『私はケイオスのプログラム、カオス』


「ケイオス?カオス?何だ?」


『ケイオスに存在するプログラムの一つです、私、カオスは数あるプログラムの中でも唯一自我を持つプログラムです』


「…どゆこと?」


『………自立型AIです』


「そう…か」


『それでは本題に入ります』


「本題?」


『今、世界はどうなっているかわかりますか?』


「世界大戦一歩手前」


『正解です、続けて質問ですこのまま戦争が続けば地球はどうなるでしょう』


「環境が荒れる」


『半分正解です、完答は地球が崩壊します』


「なんですと!?」


『そこであなたに、地球を救ってもらいます』


「重ない?」


『それを出来る力を貴方は持っています』


「そんな力が俺に?」


『はい』


「俺、凄い?」


『自惚れないでください、正しく言えばケイオスのシステムを利用するだけです』


「そう…っすか」


『貴方はケイオスと繋がっています』


「あ〜、あの時か」


あの時とは、ローズが九郎の指示に従いケイオスに乗り込んだ時である。


『あれは本来九郎、ブルーローズが搭乗する機体でした、しかし彼はそれが出来なかった』


「何故?」


『ケイオスが完成した時には彼は亡くなっていました』


「そうか…」


『そこで貴方です』


「俺?」


『彼の血を引き、そして唯一彼が干渉出来る子孫、そして』


「そして?」


『多少傷ついても平気な身体に改造された人間』


「おっふ」


『ケイオスは本来有るべきはずのリミッターが外されています』


「リミッター?」


『リミッターとはパイロットの危険な運転を抑制するためにあるシステムです』


「それが外されていると」


『はい、そのため覚醒した者、もしくは肉体改造を受けた者しか乗れません』


「なら、シズでもいいじゃないか」


『なぜ貴方が選ばれたか、それは彼の遺伝子を持っているからです』


「…じいちゃんのか?」


『はい、ケイオスの能力を最大限に活かすには彼の一族が必要なのです』


「一族…」


『彼の本名は、神崎かんざき 九郎、神崎家最後の人間です』


「神崎家?」


『まず、世界には稀に能力を持って生まれてくる人間がいます』


「ほうほう」


『昔は超能力や妖術、忍術、魔法など様々な形で存在していました』


「なるほど」


『しかし神崎一族には能力を持って生まれてくる人は100%です』


「そうなのか」


『神崎一族はこれまで50を超える能力者がいました』


「多いな!」


『その能力者の中でも飛び抜けて希少な能力を持つ者もいます』


「ほうほう」


『希少な能力を持っていた人物は5人です』


「その5人の能力は?」


『まず『操魂』これは九郎が持っています』


「じいちゃんの能力だな」


『続いて『天候操作』文字通り天候を操ることができます。

続いて『空間転移』これは貴方の能力です』


「俺も希少な能力持ちだったんだ」


『そしてそれを凌駕する最も強力な能力が『時』と『無限』です』


「『時』「無限」ヤバそうな能力だな」


『『時』は文字通り時間を操ることができます』


『『無限』は最強と言われています』


「どういう能力なんだ?」


『『無限』は無限を付与することが出来る能力です』


「…?」


『例えると、能力者が物を投げるとしますそこに無限を付与すると、どうなると思います?』


「止まることなく進み続けるとか?」


『正解は、無限に加速し続けるのです』


「え、無限に加速?」


『はい、物体が壊れるまで』


「ならその物体に無限を付与すれば…」


『残念ながら、無限を維持できるのは一つまでです』


「そうなのか」


『物だけとは限りません、炎に無限を付与すると無限に燃え続けますし、食料に無限を付与すると賞味期限や消費期限が無限のハイスペックフードの完成です』


「お、おう」


『しかし、貴方や九郎はは神崎一族なのに始めから能力を持っていなかった』


「確かに…」


『しかしふたりとも後に覚醒し、能力を得ています』


「何か違うのか?」


『わかりません』


「そ、そうか」


それからカオスによる話しが延々と続いた。


『それでは本題に移ります』


「本題?」


『まず、貴方にケイオスを操縦してもらいます』


「リベリオンを捨てるのか?」


『遠回しに言えばそうです』


「…」


『そう落ち込まないでください、ケイオスの特徴は知っていますよね?』


「たしか…結構便利な機能がたくさんあったような…」


『その便利機能のうちの一つ、パーツウエポンシステムです』


「あー、あのパーツを分解して武器になるやつね」


『その機能を利用します』


「具体的にどうやって?」


『リベリオンの上に乗せる感じです』


「つまり重ね着ってこと?」


『そうなります』


「それって、負荷ヤバくない?」


『いえ、むしろ負荷は抑えられます』


「え?」


『アーツの操縦権はリベリオンにあるためケイオスは武器として扱われます、よって自動的にリミッターが掛かったような形になるのです』


「ほうほう」


『まずはそれを試してみてください、それでは…』


「え?ちょっ!」








「……何だったんだ?」


ローズは目を覚ました…が。


「人の…気配がない?」

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