第2話 幼少期② 青

母さんがカーテンの向こうで謝っている声で気がついた。


僕は上半身だけ起き上がり寝ていたベットに気付く

「どこも痛くないなぁ・・・よかったー復活!」


右手を上にかざし元気の証ピースサインを繰り出したその時、


「復活って?」


 横から疑問の声が聞こえた。声のほうを向くとさっきの白髪が目についた。目を細めて泣いている。



笑いすぎて泣いたのかな?まぁ


(笑いたきゃ笑えばいいよ白髪め!いや、白髪はきれいだから悪口にはならないな、じゃあ青リボンめ!)


どっちも悪口になっていない事に気付かないまま僕はため息をつくと


泣き終えた青リボンは目をこすりながら、母さんたちのほうへ行くよう指を指して伺う様な顔で首を傾けた。促されるまま立ち上がって靴を探し、かかとを踏んで履き、気をとりなおす。


後ろからは青リボンが片手に目まで真っ白な猫のぬいぐるみを抱きながら付いてきて。




カーテンの外に出ると見知った場所で少し安心。自販機へのルート案内もすでにナビマップに登録された模様。


ついでに母さんに謝りに近づくと、気づいた母さんは怪我が無かったことと安心したのか


ギュっとされて、そのあと肩をがっしりつかまれて至近距離で倒れた原因を問い詰められる。




「悪いものみたの?」 


 「うん たぶん【アカ】と【ミドリ】。」


「また苦手な色見ちゃったの?ケガや痛みはホントに無い?怖くなかった?」と質問マシンガンで


 「ううん全然。」 と答えると


 母さんはほっとしたような、なにか悲しそうなよくわからない顔に一瞬なったが。


「あ、すいません!」

そうだった!と 横を向いて助けてくれたらしい青リボンのお父さんに一緒に頭を下げて、更に青リボンにまで頭を下げさせられた。子供は何もしてないんじゃね?と思いつつ


そのあとは両方の親が「うちのカガミが貧弱でご迷惑を―」


「いやいや本当に無事でよかったですよ、天道さんちは活発なお子さんで、うちのアオリなんか―」


みたいな話をしていた盛り上がってますね。顔見知りなのかな??


ん? しまったアオリ?青リボンって呼んでることばれたのか?なわきゃねーか。




そのすきに任務続行だ。検診は二の次だ!アイスを選ぼうと蛇のごとく母さんにすり寄っていくと


それを察したのか500円玉を渡され ピースをされた。


「ははぁーん母さんもっと話したいんだね。イケメンだもんね。」背伸びして耳を借り小声で言うとデコピンされました。


(邪魔者は退散しますよってからに) と思い少しのジェラシーを持ちつつも自販機に直行!


上のほうの【色】は注意して見ず欲しいものを選んでいると後ろから声をかけられたんだ




「・・・ねぇ。どれにするの??」




「ワッフル!!」

 気配がなかったのとアイスについて考え込んでいた事で変な驚き方をしてしまった。


恥ずかしかったが驚いた感情の方が大きい。 無音で背後より静かに青リボンが付いてきていたのだ。


僕の母さんに「一緒にどうぞっていわれたの。」




母さんもしかして子どものアイス2人分買ってこいのピース??と考えていたら


青リボンが「でも ワッフルって・・・」と、じと目(高級アイスをバカにすんなよな!)


と心の声は叫ぶ。まぁバカにされているのはワッフルコーンじゃなく僕なんだけど・・・。






病院の床をみて落ち着く。とりあえず深呼吸 お金の計算をまずしよう、自分にできることから始めなきゃね。


ワッフルコーンは何と260円もしたんだ、もちろん期間限定のスイカ味も。ってことは


えっと2個は買えないよな、500円越えちゃうよ。




違う違う!前提が間違ってるよ!青リボンはジュースでいいじゃん、そうだよわざわざ戦利品を使って高級食材を青リボンに買わなきゃいけないんだ!理由がないじゃないか!


 内なるカガミの天使と悪魔が葛藤するどころか結託し、肘を机に付いて祈る組み手を額に当てている


僕の中の最終判断が下されようとしている!


先ほどまで悩んで下を向き、閉じられていた四つの目がこちらを見て同時に見開かれた!

(たぶん効果音は【ギャン!!】)


『『あいつはジュースで、おまえはアイス!』』  




・・・まぁそのつもりだったけど。


(スイカにやられたんだ、スイカを食べないで目の前の壁から逃げるつもりは無い!)



ということで何の【ジュース】にするか聞こうとしたら先に喋ってきた




?」   





その時初めて青リボンの女の子と目があった。


 一瞬「えッ?」ってなって 一人の子に今日だけでも見とれたんだと思う。



透き通った瞳は見たことないほどきれいなビー玉のようだった。僕の好きな青色だったんだ。

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