創作企画交流SS置き場
@igutihiromasa
ニジゲンのプロローグ
プロローグ
プロローグ
ここはどこ。あいつはどこだ。俺は、いったいどこにいる──?
レインが「枠の外から出た」──慣用句で、漫画作品の登場人物がニジゲンとしてこの世に生まれでることだ──時に、真っ先に思ったのはこの三点。見慣れない、乱雑に本が積まれた埃っぽい書店(にしては、本の表紙が極彩色だが)を見回してもあいつ――サニーはいない。サニーと自分は最初は敵同士だった、戦ったこともあった、でも今は紆余曲折あって恋人となってデートしたり「セックスしないと出られない部屋」に閉じ込められたりあいつの友人の結婚式に出席して結婚を意識した結果プロポーズしたりあるいは憎しみあって殺したり――???
混乱に頭を抱えていると、店主らしき人間が怖々と自分を覗き込んでいるのに気がつく。
「雨上がりのシャイニーブリッジ、実は当店の品物じゃないんで持ってってもらって大丈夫ですけど……?」
「雨上がりのシャイニーブリッジ?」
聞き慣れない単語を復唱すると、店主は驚いたように目を見開いた。
「えぇえ? そこまでハイクオリティな衣装やメイクのレイヤーさんなのに、雨上がりのシャイニーブリッジ目当てじゃないんですか?」
「なんだ、それ……」
レインが探るように聞くと、店主も確認をとるように聞いてきた。
「えっと……それ、レインボウサーガのレインですよね……?」
「あぁ、俺の名前はレインだが……ここはいったいどこなんだ? あと、サニー……いや、オレンジ色のポニテ女を見なかったか?」
「その呼び方、やっぱレインじゃないですか! レインボウサーガの怪力ウェイター! そこまで成りきっているファンなのに雨シャイ目当てじゃない!?!? いや、成りきっているからこそそんな態度なのか? でもなんで当店に来たんですか!? 待ち合わせならもっと分かりやすい場所にした方が……!」
「ちょっと、お前落ち着いた方がいいって……」
緊張のあまりだろうか、饒舌になった店主をおちつかせるために手を伸ばし――レインは棚に手をぶつけ、本の雪崩を起こしてしまう。
「うわぁあああああああいつ! 無断で変なところに雨シャイ在庫を置くから……!!!」
店主が頭を抱えている前で、レインは両手を広げて本を受け止める。大丈夫、このくらいサニーの必殺技たる
それに、本の表紙で笑っているサニー。その笑顔にレインは目を引き付けられて、この笑顔を地に落とすわけにはいかないという使命感を感じたのである。
それはカップリング相手への恋愛感情か親愛か。レイン自身にも分からなかった。
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