テルミー 君がやろうとしている事は

サクラダリセットでライトノベルに興味を持った後に手にとったのが、

「テルミー」という作品でした。


修学旅行の事故で無くなったしまった24人の生徒の最期の夢を、

修学旅行に行けなかったことで事故を免れた主人公と、事故からただ一人生き残ったヒロインが叶えていく別れの物語です。


本作のヒロインは事故に巻き込まれた際、亡くなった24人の魂が宿ります。

そしてヒロインは彼女達の最期の夢を叶えるために動くことになります。そこに修学旅行を欠席したことで生き残った主人公が加わり、二人で24人の最期の夢を叶えていくことになります。


各エピソードは決して捻りのある物語ではありません。

文章も読み慣れている人から見れば、違和感のある体裁で書かれていると思います。

それでも惹かれてしまうだけの熱量がこの物語にはありました。


本作の特徴(影響を受けた箇所)は下記になります。


・読者を引き込む冒頭

・人の死別(グリーフケア)を描く物語


■読者を引きこむプロローグ

本作の一番の特徴はなんと言っても冒頭です。

以下抜粋です

=============抜粋開始============================

この物語には、二十六人の高校生の男女が登場する。

当然のようにこの物語は、二十六院の死と青春を描くものになる。

そしてこの物語は、必ずハッピーエンドになる。

なぜならこの物語は始まりの時点が最も悲惨で、最も間違った状況だからだ。

彼らのうち二十四人は、物語の始まりと同時に死亡している。

=============抜粋終了====================


上記のように結末が冒頭で提示された状態で物語が綴られていきます。

この物語で記されるものは、肉体的な痛みや胸の痛み・悲しみが中心になりますが、

必ずハッピーエンドになるという言葉が支えになり、物語を読む手が止まらなくなりました。


■人の死別(グリーフケア)を描く物語

本作でスポットがあたるのは、亡くなった生徒達の遺族や友人です。彼らは亡くなった友人達を想い哀しみから乗り越えられずにいます。

主人公・ヒロインは亡くなった生徒の最期の思いを叶えるため、遺族・友人と向き合っていきます。その中で彼らは悲しみを乗り越え、前へと進んでいく物語は物書きとしての私に大きな影響を与えました。


本作の死別を乗り越える物語に触れたことで、

ライトノベルの奥深さに気付かされたのでした。

文章としては癖があるのですが、それを差し引いても名作だと思います。

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