もしも戦隊ヒーローのレッドの中身が女の子だったら

飛鳥

1.

「灼熱ハイパーキック!」

「グワァァァァァァァァァァァァァァァァア」


 キックが炸裂し怪人の叫び声が響き渡る。誰のキックかって? もちろん私のだ。


「もう大丈夫ですよ。怪我はありませんか?」

「は、はい。ありがとうございました。あなたは私の命の恩人です」


 近くにへたり込んでいた一般人に手を差し伸べた。怪我はないみたいで一安心だ。ここにいると危ないから、と避難してもらう。

 んんっと咳ばらいが一つ。

 振り向くと頼れる仲間たち、ブルー、イエロー、グリーン、ピンクの四人が立っていた。


「レッド、こちらは倒せたぞ。そちらも……終わったみたいだな」


 腕を組みながらクールに話すブルー。


「はぁー、腹減ったなぁ。今日の夜ご飯はカレーだな」


 カレー大好き。でも辛口は食べられない、イエローがぼやく。


「イエロー、家に帰るまでが任務だよ。それに、使った武器を手入れしないと」


 自慢の刀を拭い紙で拭きながら言うグリーン。


「きゃあ、さすがレッド。さっきの怪人を一人で倒しちゃうなんて!」


 私の手を両手で掴んで言うピンク。さりげない上目遣いも忘れない。

 私の周りに集まり、私の言葉を待っている。仮面の中、口元に付いているマイクをもう一度オンにする。


「ああ、今日も全員無事で良かった。街への被害も少ない。みんなよくやってくれた。ありがとう。今日はここで解散だ」


 現地集合、現地解散。特別な指令や呼び出しが無い限り私たち、コウセイジャーは現場でしか会うことがない。その特別は今まで一度も起こったことがない。

 じゃあ、と言ってそれぞれ帰路につく。みんながいなくなってから急いで変身を解いた。

 変身が解けてセーラー服姿にリュックを背負う私になる。


 そう。ハイパー戦隊コウセイジャーのレッドの中身は私、赤羽あかばね はるなんだ。

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