第3話

甘い夢を見た

もう何十年も会っていない、かつて好きになった人の夢


輪郭もはっきりしていないし声だって不確かなのに、その人だと信じられるのは何故だろう


いつだって不遜で、自信家で、体が弱い人だった

自己顕示欲が強くて、でも自信がなくて

よくわからないけどやさしかった


どうしようもないほど近くにいて

その人の前ではありのままでいられたから


怖くて怖くてどうしようもない時、わたしは後ろに手を伸ばす

ぬるくてぴりぴりした痛みを感じて、

頬に熱が点る

この感情をなんと名付けようか


仮に恋だとして、

そう呼んだとして、

同じように伝わるだろうか

わたしの独り善がりじゃないだろうか


ぺらぺらのわたしを知って、失望しないだろうか


あぁ、いまも

あなたのことばかりかんがえて

わたしのことをかんがえてほしいとねがって

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