未知

おちば

第1話

きっちりと着こなした浴衣から覗く

うなじのうつくしさに吸い寄せられて

僕は思わず息を止める

HBの鉛筆で

首と肩の薄いラインをなぞりたくなる


薄暮の明るさでは刺激が強すぎて

ちらちら視線を外してしまう

あぁ、臆病者だ

誰かに見られるのは嫌だなんて


「かわいいでしょ」

解っているみたいに、そう言われるのが当然みたいな自信に圧倒される

覗く素足に目眩がする


足止めしたい、この時間だけは

誰にも入って欲しくない

隣に居るだけじゃいけない

その袂に手を忍ばせてみたくて

「僕の声だけ聴けるところに行こうよ」と

耳に近付いた、生ぬるい風がそよいだ


あたしのこと、そういう風に見てるんだ

へえ、

それだけ呟くと、未知は僕と距離を取った


「ごめんね、友達とはそれ以上になれないや」

「あたし友達のこと汚したくないし、ね」



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