第6話朝から痛め付けられる身体

翌日、登校していると背後から挨拶が聞こえ頭だけをそちらに向け、挨拶をした人物にため息を吐いてから挨拶を返した俺。

「......佳澄か、おはよー」

「悪いか、私じゃ。ため息を吐かれるの、結構ムカっつくんだけど!」

「そうなんだ。じゃあ──」

「ちょい待ちぃっ!ため息吐かれて、はいさいならってわけにはいかない!来いっ!」

伏間が耳を引っ張り、強制的に連行しようとしてきた。

「いてっ!いてててぇっ、耳ちぎれるぅっ!おいっ、おい佳澄ぃっ、いてぇっつってんだろ!」

「はいはい~騒がないでねー、いい歳した男子なんだからぁ~」

「なっ何がっ、いててっ!」

抵抗を試みるが、耳を潰すほどの力をいれられて、あまりの痛さに涙が溢れる俺だった。


廊下で擦れ違う生徒らに笑われる。


伏間は校内の一部ではあるが生徒に怖れられている。短気で有名──な女子生徒が彼女なのだ。

まあ、その話題についてはおいおいとして。


ダンス同好会の部室──と呼べるほどの大層な教室ではなく、防音設備が整っている視聴覚室に連れて来られた俺だった。

「何故に視聴覚室?」

連れて来られ、彼女に放った第一声がこの問い掛けだった。

「見てないの?」

質問を質問で返す彼女。

「見てない?何のこと?」

「メール。昨夜、送ったんだけど」

そう返され、スマホを取り出し、昨夜に送られたメールに目を通した。

「はぁ......あんたってやつは。分かったでしょ、さっさと入れっ!」

ため息を吐いてから呆れられ、扉を開けて尻を蹴った彼女によって、室内に閉じ込められた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る