第1話……エピソードⅤ……秋営地オルダバザール
★中央アジアの人々のことわざ
客が何時来るかは客がきめる、客がいつ去るかはお前がきめる。
1363年9月中旬の木曜日朝10時…秋営地オルダバザール
仕立ててくれた。
100頭捕獲して欲しいと言われた。
快く引き受けたがもう一つ難題を持ちかけられた。
鍛冶屋をやっているケマツとジュチが良い鉄が無くて困っているそうだ。
鉄はジョチ・ウルスの内紛のせいで価格が高騰している。
品数もあまり出回っていない。
兄弟姉妹や従兄弟・従姉妹たちと部下たちを呼んで相談した。
解決策が見つからず頭を抱えていた。
……お母さんの長姉スネジャーナの孫…に持ってこさせた。
スサンナは黒く光る大きな石を一緒に持ってきてみんなに見せた。
「ジェベがこの間の狩猟の帰りにルドニーの近くの山で黒い石を
見つけて私にくれたの」。
ケマツとジュチがこの石をみて鉄鉱石だと云った。
そういえばチュメニからの帰りに寄り道をしたな。
あの山に鉄の鉱山があったのか。
ルドニーの町に行ってみることにした。4日もあれば行ける。
それにしてもジェベのやつスサンナに惚れていたんだな。
そうじゃなければ俺に内緒で物をスサンナにやるものか。
スサンナにはお手柄の褒美に金のインゴットを1枚やった。
スサンナは大喜びしていたが、「使いづらいので小金貨100枚に
両替してくれ」 と云う。アドリアンは余分に小金貨を100枚やった。
アドリアンに抱きついてきたがみんなの誤解を招くといけない。
そっと身体を逸らせて逃げた。
9月下旬の火曜日朝10時…ルドニーの町近くの山
1万人掛かりでまる1日探してやっと見つけた。
露天掘りを10日行って1,000トンの鉄鉱石を得た。
全員に大金貨を1枚ずつ支給した。
ケマツとジュチが云うにはここに工場を作り、
鉄鉱石を精錬して鉄鋼を作る必要がある。
精錬するには石炭が必要だ。人数を半分に分けて地下工場を作り、
石炭を掘りに行かせた。ジェンドから瀝青炭を2千トン持ってこさせた。
10月下旬の日曜日朝10時…ルドニー製鉄工場
コークス炉……注①を作り2千トンの瀝青炭からコークスを400トン作った。
高性能の鉄鋼がたくさん出来た。
ケマツとジュチには「ここで作る製品はアドリアンが全て買い上げる。
他には売るな」 と命令した。
槍と剣を1万本ずつ及び
総額で小金貨1万枚支払った。部下たちにも大金貨を1枚ずつ支給した。
槍部隊3,000名、剣部隊3,000名、弓部隊4,000名の編成をした。
11月上旬の土曜日朝10時…ルドニー製鉄工場
チュメニに向かって出発した。
11月中旬の土曜日朝10時…チュメニ宿屋
宿屋の主人に馬を預けてトナカイ1万頭と
1万個1冬借りた。小金貨2千枚支払った。
1ヶ月の間にラッコ350頭、ヒグマ50頭、クズリ100匹、アカギツネ1,000匹、
キタキツネ500匹、イタチ300匹、テン500匹、オコジョ1,000匹、
ミンク800匹、カワウソ1,000匹、野生トナカイ2,000匹、ノウサギ3,000匹、
リス5,000匹等、鳥類ではガン1,000羽、カモ3,000羽、ハクチョウ200羽、
ライチョウ300羽を捕獲した。
全員でさばいて、肉、内蔵、毛皮を馬車に積んで
アドリアン以外はキシリクに向かった。砦の人たちが来るまでにみんなは
鉄製のボイラーを製作した。オビ川からキシリクの砦まで水を引き、
コークスを熱源とするボイラーを通して鉄パイプで温水を各家庭に供給する。
砦の人たちのために地下の固定住居を1,000軒建設して蒸気パイプも
全家庭の各部屋に通した。エカチェリーナも連れて行っている。
後で感想を聞くと暖かさに感激していた。この地も攻撃される可能性は十分にある。
この間にコンクリート100トン分の材料を集めさせた。
アドリアンはジェンドに帰還した。
12月中旬の月曜日朝10時…
捕獲した獲物をお母さんに渡した。
ラドミラ用に取っておいたトナカイの毛皮をラドミラに渡した。
大喜びしていた。男の子を出産したので、名前をステファン・バザロフと名付けた。
俺の長男でバイの後継者だ。
みんながエカチェリーナを連れてキシリクから帰って来た。
ジェンドの固定住居にもボイラーを設置し、アラル海から水を引き、
各固定住居に鉄パイプを通してスチーム暖房を設置した。
★閨房の楽しみ…ラドミラ編
薬酒及び滋養強壮エキス入りの蜂蜜酒を
口移しで飲み交わし、食事はアドリアンがその都度噛み砕いて
ラドミラの口の中に入れて食べさせた。
十分にラドミラが食べたあとはラドミラが口移しに食べさせてくれた。
馬乳酒を沢山飲んで2人とも酔っ払ってしまった。
久し振りに2人は思いの丈をぶつけ合い互いの深い愛を確認した。
何時の間にか時間は3時になっていた。
名残を惜しみながらラドミラは出て行った。
★トナカイ猟
秋から冬にかけて野生動物を捕獲し、トナカイを
春から秋まで飛来する渡り鳥の狩猟期間は限られるが、
その他の毛皮動物に対しては年間をとおして狩猟活動を行う
ことが可能である。
しかし、冬毛への換毛後の毛皮をねらって秋~冬に狩猟をすることが多い。
狩猟方法は罠猟と飛道具を使用した狩りである。
積極的に動物を探しに行くこともあるが、
罠猟を仕掛けて獲ることの方が多い。
野生動物を捕獲し殺した後、トナカイを屠畜した後、すぐに毛皮を剥ぐ。
剥いだ毛皮に魚油を塗り、冬季の外気温にさらされる屋外や小屋で
乾燥させておくか、煙でいぶして乾燥させる。
そして、日照時間が長くて作業しやすい春に皮下結合組織を除去し
柔らかくするために、専用ナイフで
手でこすり合わせるようにして揉んでさらに柔らかくする。
このとき
を細く裂いて
冬季は生皮でも屋外や小屋に保管しておけば腐食しにくい。
また、日照時間が短く暗いときに細かい作業を行うことができない。
加えて、春の雪解け・解氷の時期は漁撈を控えるのでその分の時間
をこうした作業に充てることができる。
6月、7月になってしまうと漁撈に多くの時間を費やすうえに、
気温が高く蚊が多くて屋外で
模様を作りながら縫製し、トナカイの脛の毛皮で細かい模様の
アップリケやビーズ刺繍を縫い込んでいく。
そして、日照時間が短くなってしまう秋までに衣服を縫う。
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注①……コークス炉……石炭を高温で蒸し焼きにする乾留工程により、
硫黄、コールタール、ピッチ、硫酸、アンモニアなどの成分が抜ける。
この工程を経る事で燃焼時の発熱量が元の原料の石炭より高くなり、
高温を得ることができる。外見は石炭に似るが、多孔質であるため
金属光沢は石炭に比して弱い。多孔質は、乾留(1,300℃以上)の際に
石炭中の揮発分が抜けてできるものであり、結果的に炭素の純度が高まり
高温度の燃焼を可能とする。一般的な収量は、瀝青炭程度の品位の石炭
100に対し20程度「重量比」で、残部は副産物、灰「燃焼灰・灰分」となる。
乾留時にコークス炉ガス、軽油、タール「コールタール」が副産品として
得られる。これらはそれぞれに燃料や化学合成用原料として用途があり、
コークス炉は古くから石炭化学工業の原料転換工程としても重要である。
有効成分を含んだガスいわゆるコークス炉ガス「COG: Cokes Oven Gas」
はコークス焼成に再利用されるなどしている。
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注②……
両横に取っ手がついたスクレイパー(箭)で皮下結合組織を取り除くこと。
本鞣しの段階でも行われ るが、春の鞣しまで期間があるので、
防腐のために行っておく。
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注③……皮の
トナカイ毛皮の衣服作りは、狩猟・屠畜-皮剥ぎ-乾燥「冬」
-
または揉み込み」色合い大きさの組み合わせ-縫製という順で行われる。
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★アドリアン13歳、女たちの出産予定
ラドミラ10月中旬
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